
「防災の日」政府の総合防災訓練 南海トラフの巨大地震想定で
9月1日は「防災の日」です。ことしの政府の総合防災訓練は、南海トラフの巨大地震に伴い西日本と東日本の広い範囲で甚大な被害が出ているという想定で行われ、国や自治体の担当者が初動対応や連携の手順などを確認します。

ことしの政府の総合防災訓練は、和歌山県の沖合でマグニチュード9.1の巨大地震が発生し、西日本と東日本の広い範囲で震度7や6強の激しい揺れとなり太平洋側を中心に大津波警報が発表されたという想定で行われます。
去年の能登半島地震を踏まえて冬の夕方に発生したことを想定していて、訓練の開始後は、総理大臣官邸に閣僚や各省庁の担当者が集まって訓練のための「緊急災害対策本部」を設置し、被害状況などの情報収集や対応方針などを話し合います。
また、甚大な被害が出ているという想定で、静岡県のほか、和歌山県と高知県の市や町と結んでテレビ会議を行い、被害状況や必要な支援の報告を受け、対応を確認します。
そのあと石破総理大臣が訓練のための記者会見を行い、政府の対応状況を説明し、国民への呼びかけを行うことにしています。
1日は、関東の1都3県と5つの政令指定都市がさいたま市で合同の防災訓練を行うなど、全国各地でさまざまな訓練が行われる予定です。
南海トラフ巨大地震の想定は
南海トラフの巨大地震は、静岡県の駿河湾から九州の日向灘沖にかけて海側のプレートが陸側のプレートの下に沈み込んでいる南海トラフ沿いで発生すると想定されています。
内閣府などによりますと、南海トラフ沿いではおおむね100年から150年の間隔で大規模な地震が繰り返し発生していて、政府の地震調査委員会は、今後30年以内にマグニチュード8から9の巨大地震が発生する確率は80%程度としています。
南海トラフ巨大地震が起きた場合の被害想定は、ことし3月に見直されました。
マグニチュード9クラスの巨大地震が起きた場合、激しい揺れと大津波が広域に及び、
揺れは
▽震度6弱以上が神奈川県から鹿児島県にかけての24府県600市町村で
▽震度7が静岡県から宮崎県にかけての10県149市町村で想定されています。
津波は、
▽3メートル以上が福島県から沖縄県にかけての25都府県
▽10メートル以上が関東から九州にかけての13都県で想定され
▽高知県と静岡県では局地的に30メートルを超えるおそれがあるとされています。
死者は最悪、全国で29万8000人にのぼり、このうち21万5000人は津波で、7万3000人は建物の倒壊で犠牲になると推計されています。
また、235万棟の建物が激しい揺れで全壊したり火災で焼失したりすると想定されています。
経済にも大きな影響を及ぼし、被災で生産力が低下した影響を含めて、経済被害は270兆円余りにのぼるとされています。
一方で、早めの避難や耐震化などの対策で被害は大幅に減らすことができるとされています。
全員がすぐに避難すれば津波の死者はおよそ7割減り、耐震化率が100%になれば、全壊する建物はおよそ7割減って、建物倒壊による死者も8割近く減ると試算されています。
家具の固定率も100%になれば、倒れてきた家具などで亡くなる人はおよそ7割減ると試算されています。