
農林水産省は、例年7月下旬にまとめている主食用米の需要見通しについて、今月の公表を見送る方向で調整していることが分かりました。需要見通しをめぐっては、実態とかけ離れたことが品薄や高騰の一因となったという指摘があり、農林水産省はコメ政策の見直しに合わせて検討する方針です。

農林水産省は、例年7月下旬に審議会を開き、向こう1年間の主食用米の需要見通しを公表しています。
この見通しは、1人当たりのコメの消費量が年々落ち込んでいることに加え、人口も減っていることから、最近はおよそ10万トン減少すると推計し、各地の生産者の多くはこれに基づいて生産量を抑制してきました。
しかし、専門家からは、見通しが実態とかけ離れる年が出てきていて、去年のように需要が急に増えた場合には、コメの品薄や高騰につながるなどといった問題が指摘されています。
このため農林水産省は、来週開かれる審議会でコメの需要見通しの公表を見送る方向で調整していることが分かりました。
農林水産省は、2027年度から「根本的に見直す」としているコメ政策を踏まえて需要見通しを検討する方針で、より正確に需要の実態をとらえることで、安定的な増産につながる見通しを出せるようにするか、増産してコメの価格が下がった場合、生産者への影響を避けるための支援制度をどのように設計するかが、焦点となります。