【詳細】相互関税 15%に引き下げ 9分野中心に米に投資 | NHK

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日本政府は7月25日、アメリカの関税措置をめぐる日米交渉で合意した内容について詳細を公表しました。

関税 首相“両国 国益に一致” 出席者“合意文書 作成すべき”

まず、アメリカの関税措置の見直しです。

《「相互関税」15%に引き下げ 発動時期は未定》

▽来月1日に25%が課されることなっていた「相互関税」は15%に引き下げるとしています。

政府関係者によりますと、今回の合意で相互関税の発動時期は決まっていないということです。

ただ、「当然の想定として、8月1日からは今回の合意に従った税率が適用されると理解している。今後アメリカが大統領令の発出などの措置をとる必要があり、引き続きアメリカと意思疎通をしていく」としています。

従来の税率が15%未満の品目は税率が一律15%に、従来の税率が15%以上の品目はこれまでの税率が維持されるということです。

▽「自動車」への25%の追加関税は半分の12.5%に引き下げられ、従来の税率2.5%とあわせて税率は15%になるとしています。

▽自動車部品にも25%の追加関税が課せられていましたが、従来の税率もあわせて15%に引き下げられます。

政府関係者によりますと、今回の合意で自動車や自動車部品の関税の発動時期も決まっていないということです。

政府関係者は「アメリカの大統領令の発令など速やかに措置を取ってもらう必要がある」としています。

▽半導体や医薬品への関税は仮に将来、関税が課される場合でも日本がほかの国に劣後する扱いとはならないとしています。

続いて、経済安全保障面での協力です。

《「9つの分野」を中心に米国へ投資》

経済安全保障上重要な「9つの分野」を中心に、日本企業によるアメリカへの投資を通じて、アメリカ国内に日米双方が利益を得られる強じんなサプライチェーンを構築するため、緊密に連携するとしています。

9つの分野とは
半導体、医薬品、鉄鋼、造船、重要鉱物、航空、エネルギー、自動車、AI=人工知能・量子です。

これを実現するため、日本は政府系金融機関が最大5500億ドル、日本円にしておよそ80兆円規模の出資や融資、それに融資保証の提供を可能にするとしています。

出資における日米の利益の配分の割合は、双方が負担する貢献やリスクの度合いを踏まえて、日本が1割、アメリカが9割とする、としています。

続いて貿易の拡大です。

《アメリカの農産品など購入を拡大》

農産品を含めて日本側の関税の引き下げは含まれていないとしています。

日本はバイオエタノール、大豆、トウモロコシや肥料などを含むアメリカの農産品、それに半導体や航空機などのアメリカ製品の購入を拡大するとしています。

コメについては、毎年およそ77万トンのコメを関税をかけず、義務的に外国から輸入している「ミニマムアクセス」と呼ばれる仕組みの枠の中で日本は国内のコメの需給状況なども勘案しつつ、必要なコメの調達を確保するとしています。

このほか、日本がLNG=液化天然ガスなどアメリカ産のエネルギーの安定的で長期的な購入やアメリカ・アラスカ州で進められているLNGの開発プロジェクトに関する検討も行うとしています。

コメの輸入に関連して、アメリカのホワイトハウスの発表では、日本がアメリカ産の輸入を75%増やすとしています。日本は「ミニマムアクセス」の枠の中で、昨年度1年間、アメリカから34万トンあまりのコメを輸入しています。仮にこの量をもとに1年間、アメリカからの輸入を75%増やした場合、単純計算でおよそ60万トンとなり、枠の中でおよそ8割を占めることになります。

非関税措置の見直しです。

《主に自動車分野が対象 非関税措置の見直し》

主に自動車の分野が対象で、
▽日本の交通環境でも安全なアメリカの自動車メーカーの乗用車について追加の試験をせずに輸入を可能にするとしているほか、
▽EV=電気自動車や水素を使って走る燃料電池車などを購入する際の補助金の運用について、適切な見直しを行うとしています。

追加の試験をせずに輸入が可能となるのは、EU=ヨーロッパ連合の域内で販売されているアメリカの自動車メーカーの乗用車です。

日本とEUは、もともと国連の協定に基づいて同じ安全基準を採用しています。

今回の合意では、EUで安全基準を満たしているものの、アメリカから日本に輸出されていないモデルの車については、日本でも安全に走行できるとみなして輸入を可能にします。

また、見直しの対象となる補助金の額は、▽プラグインハイブリッド車が最大60万円、▽EVが最大90万円なのに対し、▽燃料電池車は最大255万円となっています。

この補助金について、アメリカのUSTR=通商代表部は、主に日本企業が生産している燃料電池車への補助金が高いことを理由に、日本企業が外国企業よりも恩恵を受ける仕組みになっていると指摘していました。

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