過去最多の感染者が報告されている、主にマダニが媒介する感染症SFTS=重症熱性血小板減少症候群について、おととし、ヒトからの感染が国内で初めて確認された医師がNHKのインタビューに応じ「短時間の接触で感染することもある」と注意を呼びかけました。
SFTSは主にウイルスを持ったマダニに刺されることで感染しますが、患者の血液などを介してヒトからヒトへ感染することもあります。
国内ではおととし山口県の医師が患者から感染したのが初めてのケースと報告されていて、この医師が今回インタビューに応じました。
医師は当時、発熱などの症状で救急外来を受診した90代の男性患者の診療にあたったということで、「診療時間は15分ほどだったが、患者は耳が遠く30センチほどの距離で会話をしていた。マスク以外にゴーグルなどは着けていなかった」と振り返りました。
患者はSFTSと確認され、入院して治療を受けましたが症状が悪化し、受診から2日後に死亡しました。
医師は、その9日後に発熱や頭痛などかぜに似た症状が出て、検査を受けたところ感染がわかったということです。
医師はこの時期マダニに刺されたことはなく、症状はその後回復したということです。
医師は「検査結果を知ったときは驚いた。血液などに直接触れた自覚はないが診察や亡くなったあとの処置の際に感染した可能性がある。まれなケースだと思うが短時間の接触で感染することもあると知ってほしい」と話していました。
専門家「医療機関は警戒を」
長崎大学病院総合感染症科の泉川公一教授は「ヒトからヒトへの感染は患者の血液などに直接触れるような形で起きるが、一般家庭ではまれにしか起こらないので過度に恐れる必要はない。一方、SFTSの患者数は年々増加し感染が確認された地域も広がっていて、どの医療機関も患者を診察する可能性があり、警戒を強める必要がある」と話していました。