セブン&アイ・ホールディングスのスティーブン・ヘイズ・デイカス社長は、6日、今後の経営戦略を発表し、国内のコンビニの店舗を2030年度までに現在よりおよそ1000店増やすなどして、主力のコンビニ事業を軸に企業価値を高める方針を示しました。 セブン&アイ・ホールディングスは、カナダのコンビニ大手、アリマンタシォン・クシュタールから買収提案を受けていましたが、先月、クシュタール社が提案を撤回し、単独での企業価値の向上が課題となっています。 これについてセブン&アイのスティーブン・ヘイズ・デイカス社長は、6日都内で会見を開き、今後の経営戦略を発表しました。 この中では、現在、国内に2万1000店余りあるコンビニの店舗を、2030年度までにおよそ1000店増やすほか、店内で調理した焼きたてのパンなどを提供できるようにするため必要な店舗への投資を行っていくなどとしています。 セブン&アイはスーパーやレストランなどの事業を切り離し、コンビニ事業に注力することにしていて、2030年度までに3兆2000億円の投資を行い、売り上げにあたる営業収益を現在の10兆円から11兆3000億円に拡大させるということです。 デイカス社長は会見の中で、「長期にわたる成功は会社に慢心をもたらし、イノベーション=事業革新のスピードを低下させていた。事業運営の手法をスピーディーに危機感をもって変革する必要性を強く感じている」と述べました。 セブン&アイHD社長 ”買収提案の撤回による影響はない” また、デイカス社長は、カナダのコンビニ大手、アリマンタシォン・クシュタールが先月、買収提案を撤回したことについて「われわれとしては誠意をもって対応し、できることはしたつもりだ。クシュタール社も去年は業績が低下し、いろいろなプレッシャーがかかっていたのではないか」と述べました。 その上で、両社がアメリカのコンビニ事業で1位と2位のシェアを占めることから、競争法上の問題が課題になっていたとした上で、「何度クシュタール社に聞いてもアメリカの規制当局との問題を是正できる対応をしてこなかった。買収を成功させるにはこの問題をひもといていく作業が必要だが、クリアが難しいことは明らかだった」と述べました。 一方で、買収提案の撤回によるセブン&アイの経営への影響については、「提案があるかないか関係なく、単独での成長プランを一貫して進めてきた。われわれが示した経営戦略は、株主にとっての価値をしっかり顕在化できるものだ」と述べ、影響はないという考えを示しました。