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民間企業の去年の平均給与 過去最高も“物価に追いつけず”

物価高騰

民間企業で働く人の去年1年間の平均給与は477万円余りと、前の年から18万円増え、過去最高となったことが、国税庁の調査で分かりました。専門家は「給与は上がっているものの、物価上昇には追いつけていないのが実態だ」と指摘しています。

国税庁が26日に発表した「民間給与実態統計調査」によりますと、去年1年を通じて民間企業で働いた会社員やパート従業員などおよそ5137万人の平均給与は477万5000円でした。

前の年と比べると18万円、率にして3.9%増えて、4年連続で前の年を上回り、今の方法で統計を取り始めた2014年以来、最も高い額となりました。伸び率も過去最高です。

内訳を見ると、
▽正社員が2.8%増えて544万9000円、
▽正社員以外が2.2%増えて206万3000円となり、
給与の伸びは正社員が上回っています。

また、男女別では、
▽男性が3.2%増えて586万7000円、
▽女性が5.5%増えて333万2000円でした。

専門家「消費者は実際の数字より高い物価上昇を感じている」

三菱UFJリサーチ&コンサルティングの小林真一郎 主席研究員は、平均給与が過去最高となった要因について「人手不足の状態が続き、給与を上げていかないと企業が労働力を確保できなくなっていることが考えられる。また、企業の業績が良好であることや、物価が上昇しているため、企業も従業員のために賃金に配慮せざるをえない動きが広がっていることも背景にある」と分析します。

一方、物価高に対する給与の伸びについては「物価上昇率分を割り引くと、給与の伸び率はプラスではあるものの、3.9%よりはかなり小さくなる。速報値で出ているほかの統計を踏まえると、給与は上がっているものの物価上昇には追いつけていないのが実態だ。特に食料品など身近なものの値段が上がっているため、消費者は実際の数字より高い物価上昇を感じている」と指摘しています。

その上で、今後の見通しについて「ことしの春闘の賃上げ率の高さや人手不足が続いていること、それに来月からの最低賃金の引き上げなど、雇用環境は良好なので、当面は堅調な動きが続き、高い賃上げ率が維持されるだろう。ただ、トランプ関税の影響によって企業の業績が悪化する可能性があることや、業績が厳しくても働き手の確保のために賃上げをしてきた中小企業でさらなる賃上げは難しくなるところも出てくることなどを踏まえると、来年以降も給与の上昇が続くかは不透明で、楽観できない状況だ」と話しています。

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