石破首相 国連総会で演説 安保理改革や「二国家解決」を訴え
アメリカ・ニューヨークを訪れている石破総理大臣は国連総会で一般討論演説を行い、安全保障理事会が十分に機能を発揮できていないとして改革を断行すべきだと訴えました。
また、中東情勢をめぐり、イスラエルが「二国家解決」への道を閉ざすさらなる行動をとる場合、パレスチナを国家として承認する可能性を示唆しました。
この中で石破総理大臣は、創設80年となる国連について、安全保障理事会の常任理事国のロシアが隣国のウクライナに侵攻し、国際秩序の根幹を揺るがしているにもかかわらず、拒否権によって安保理決議は採択されず、機能を十分に発揮できていないと指摘しました。
その上で「拒否権は大国間の衝突を回避するための安全弁としてやむを得ざる選択肢だったが、国連が抱える内在的な限界はもはや明らかだ」と述べ、理事国の枠の拡大を含め改革を断行すべきだと訴えました。
中東情勢をめぐっては、イスラエルによるガザ市への地上作戦を強く非難した上で日本政府のパレスチナの国家承認について「『するか否か』ではなく『いつするか』の問題だ」と述べ、イスラエルが「二国家解決」への道を閉ざすさらなる行動をとる場合、承認する可能性を示唆しました。
また、パレスチナ側に対しても責任ある統治体制の構築やイスラム組織ハマスによる人質の解放などを強く求めました。
核軍縮では核保有国と非保有国がそろうNPT=核拡散防止条約が効果的で現実的な唯一の枠組みだと主張しました。
その上で、日本が経験した核による惨禍は二度と繰り返されてはならないとして、先月、自身が広島市の平和記念式典のあいさつで引用した歌人・正田篠枝の歌を紹介し、世界の指導者や若い人には広島と長崎を訪れ、被害の実相を知ってほしいと呼びかけました。
さらに、いまの国際情勢をめぐり「国際社会は再び分断と対立に向かっているが、偏狭なナショナリズムには陥らず、差別や排外主義を許さない健全で強じんな民主主義こそが国際の平和と安全に大きく資するものだ」と指摘しました。
結びに日本は戦後、アジアの人々の寛容の精神に支えられ、世界の恒久平和の実現に力を尽くしてきたと振り返り「分断よりも連帯、対立よりも寛容を。日本はこれからも国際社会とともに歩んでいく」と強調しました。
石破首相 トランプ大統領と立ち話 友情と信頼に謝意
石破総理大臣は訪問先のニューヨークで日本時間の24日午前、トランプ大統領夫妻が主催するレセプションに出席しました。
そして、トランプ大統領と立ち話を行い、みずからが辞任することを踏まえ、これまでの友情と信頼に謝意を示しました。
その上で、世界の平和と繁栄を実現していく上での日米同盟の重要性は今後も変わらないという考えを伝えました。
そして、両首脳は双方の国益に資する形で日米関係が着実かつ前向きに進展しているという認識で一致しました。
また、石破総理大臣はウクライナのゼレンスキー大統領やオーストラリアのアルバニージー首相ら各国の首脳や国際機関のトップとも意見を交わしました。