自民総裁選 注目論戦テーマ 物価高 消費減税 党再生 解散戦略
自民党総裁選挙の注目の論戦テーマです。
物価高対策 消費減税
政策面では、長引く物価高への対応が大きな焦点となります。
先の参議院選挙では現金給付や減税など物価高対策が大きな争点となりましたが、石破総理大臣の続投をめぐる自民党内の混乱も影響して、その後、議論が停滞しています。
9月5日に石破総理大臣は、秋に経済対策を策定する考えを示しましたが、辞任の意向を表明したことから具体的な検討は進んでいません。
総裁選挙では、参議院選挙で自民・公明両党が公約に盛り込んだ国民1人あたり2万円の現金給付の是非に加え、多くの野党が主張する消費税率の引き下げのほか、所得に応じて給付や所得税の控除を行う「給付付き税額控除」や所得税の減税、社会保険料の引き下げなどへの考え方も問われる見通しです。
野党との連携
自民党は、去年の衆議院選挙や先の参議院選挙の結果、衆参ともに少数与党となり、政権運営には野党との連携が欠かせなくなっています。
このため、石破政権が進めてきたように政策ごとに野党の協力を得ていくのか、それとも現在の自民・公明両党による連立の枠組みを拡大するのか、野党との連携のあり方が大きな論点となる見通しです。
このうち、連立の枠組みの拡大をめぐって、自民党内では、新たな連立の相手として日本維新の会や国民民主党の名前が挙がっているほか、立憲民主党との「大連立」を支持する意見も一部で出ています。
どのような政策を通じて、どの政党と、どのような連携を目指すのか、活発な論戦が交わされる見通しです。
5人の候補者と野党幹部らとの「関係の近さ」も注目される要素の一つになりそうです。
自民党の再生
自民党は参議院選挙の敗北を受けて「解党的出直しに取り組む」などとした総括をまとめました。
総括で「不信の底流になっている」と指摘した政治とカネをめぐる問題への対応が引き続き、問われるのに加え、保守層の支持離れや、無党派層からの支持の獲得、それに多くの派閥が解散した中での若手議員の育成といった課題にどう対応していくかなどが議論される見通しです。
解散戦略
石破総理大臣は、去年の総裁選挙で勝利したあと、総理大臣に就任して8日後に衆議院を解散しました。
自民党内では、新総裁が総理大臣に選出されれば、内閣支持率の動向しだいでは、早いタイミングで衆議院の解散に踏み切るのではないかという見方も出ています。
また、一部の野党と連立を組むことになれば、国民に信を問う必要があるという意見もあります。
一方で、党の「顔」を変えただけでは、失われた信頼は回復できないという指摘や、物価高をはじめとする政策課題でまず結果を出す必要があるという意見も出ています。
衆議院の解散・総選挙の時期をどう考えるのかも注目されるテーマになりそうです。
その他の政策課題
このほか、与野党の間で結論が先送りされている企業・団体献金の扱いや、夫婦が希望すれば結婚前の姓を名乗れる「選択的夫婦別姓」制度への考え方、ガソリン税の暫定税率廃止の時期や不足する財源の扱いなども争点となる見通しです。
また、トランプ政権による関税措置への対応をはじめとする日米関係や日本周辺での軍事活動を活発化させる中国への対応、日韓関係のさらなる強化、北朝鮮による拉致問題やウクライナ支援、中東情勢への対応など、外交戦略も焦点になりそうです。
さらに、コメの安定供給に向けて増産にかじを切った農政改革、少子高齢化の進展に伴って増え続ける社会保障費への対応も議論になるとみられます。