軽油価格の不正引き上げなどカルテル疑い 公正取引委が捜索
石油販売会社8社が東京都内の運送業者などに販売する軽油の価格を不正に引き上げるなどのカルテルを結び、独占禁止法に違反した疑いがあるとして、公正取引委員会は10日午前、一斉に本社などの捜索に入りました。エネルギー価格が高い水準で推移するなか、公正取引委員会は不正な価格の調整が物流コストにも影響を与えていた可能性があるとみて実態解明を進めることにしています。
独占禁止法違反の疑いで捜索を受けているのは、トラックや大型トレーラーを使う運送業者向けの給油所の運営などを手がける東京・文京区の「東日本宇佐美」や名古屋市の「ENEOSウイング」など8社です。
関係者によりますと8社は、法人契約を結ぶ東京都内の運送業者などに対する軽油の販売価格を引き上げたり、維持したりするカルテルを結び、独占禁止法に違反した疑いがあるということです。
価格の調整は営業責任者が定期的に集まるなどして行っていたということです。
軽油はトラックや大型トレーラーの燃料として使われていて、国際的な原油価格や円相場の影響で、ここ数年、価格は高い水準で推移しています。
公正取引委員会は、カルテルによる軽油価格の不正な調整が物流コストにも影響を与えていた可能性があるとみて捜索で押収した資料を分析するなど、実態解明を進めることにしています。
カルテル疑い各地で明らかに
軽油やガソリンを巡るカルテルの疑いは各地で明らかになっています。
今回捜索を受けた8社のうち6社については神奈川県内の運送業者などに対する軽油の販売価格を不正に引き上げるなどのカルテルを結び、独占禁止法に違反した疑いがあるとして、ことし5月、公正取引委員会の立ち入り検査を受けています。
また、ことし2月には、長野県北部で石油製品を販売する事業者が加盟する組合の支部が、事業者にガソリンの店頭表示価格を不正に調整させ、カルテルを主導した疑いがあるとして、公正取引委員会の立ち入り検査を受けました。
公正取引委員会は支部に対し、再発防止を求める排除措置命令を、価格調整に応じた複数の事業者に対して課徴金納付命令を出す方針を固めています。