夏の全国高校野球 広陵が大会中に出場辞退 部員暴力問題理由に
甲子園球場で開かれている夏の全国高校野球で、広島の広陵高校がことし1月、複数の野球部員が下級生に暴力をふるったことなどをめぐる問題を理由に2回戦を前に出場を辞退することになりました。
高野連=日本高校野球連盟によりますと部員の暴力などの不祥事によって大会中に辞退したのは、今回が初めてだということです。
広陵高校の堀正和校長が10日午後、兵庫県西宮市にある大会本部を訪れたあと会見しました。
この中で堀校長は冒頭、部員の暴力問題などを理由に2回戦を前に大会の出場を辞退することを表明し、「各方面の皆さまに多大なご迷惑、ご心配をおかけしましたことを深くおわびいたします」と謝罪しました。
広陵高校は、ことし1月に複数の野球部員が下級生の部員に対し個別に暴力をふるったなどとして高野連から3月に厳重注意を受けていたことを明らかにしています。
これとは別に元部員が監督やコーチ、一部の部員から暴力や暴言を受けたという情報がSNSで広がっています。
広陵高校によりますとこれまでにSNSなどで指摘をされた事案は、新たに確認できなかったとしていて、元部員の保護者からの要望に応じことし6月に弁護士などで作る第三者委員会を設置し、調査を進めているということです。
堀校長は「事態を重く受け止め、本大会の出場を辞退した上で指導体制の抜本的な見直しをはかることにいたしました」と説明しました。
広陵高校は春のセンバツ高校野球で3回の優勝をするなどの強豪で、甲子園球場で開かれていることしの夏の全国高校野球に3年連続26回目の出場を決め、今月7日の1回戦では北北海道の旭川志峯高校に勝って2回戦に進んでいました。
高野連によりますと夏の全国高校野球では、代表校が部員の暴力などの不祥事によって大会中に辞退したのは、今回が初めてだということです。
広陵高校とは
広陵高校は広島市安佐南区にある1896年に創立された私立の学校です。
野球部は1911年に創部され、部の歴史は100年を超えます。
甲子園には春のセンバツに27回、夏に26回出場していて春のセンバツでは3回の全国制覇も果たしていて、多くのプロ野球選手も輩出しています。
部員の数はマネージャーもあわせて164人の大所帯で、1990年に監督に就任した63歳の中井哲之監督が長くチームを率いています。
大会中に辞退は今回が初 開始前に辞退・棄権のケースも
高野連=日本高校野球連盟によりますと、夏の全国高校野球では、代表校が大会が始まる前に出場を辞退したり、棄権したりしたケースは過去に6件ありましたが、部員の暴力などの不祥事によって大会中に辞退したのは、今回が初めてだということです。
このうち2005年には、高知の明徳義塾高校が夏の甲子園の出場を決めたあとで、野球部員による喫煙や暴力行為が明らかになり、大会前に出場を辞退しました。
また、4年前の2021年には、新型コロナウイルスの感染拡大による影響で、宮崎商業が初戦の前に、宮城の東北学院が1回戦に勝ったあとに出場を辞退しています。
一方、春のセンバツ高校野球では、不祥事などで出場を辞退したケースが、過去に13件あります。
このうち2000年には、福井の敦賀気比高校の野球部員が、無免許で車を運転して交通事故を起こしていたとして辞退し、2006年には北海道の駒大苫小牧高校が、部員の飲酒などの問題で辞退しました。
新型コロナの影響では、3年前の2022年に、京都国際高校が大会への出場が決まったあとでチーム内に感染が広がったとして、出場を辞退しています。
夏の全国高校野球での出場辞退・棄権校
1922年 新潟商
1939年 帝京商(東京)日大三中(東京)
2005年 明徳義塾(高知)
2021年 宮崎商 東北学院(宮城)
春のセンバツ高校野球での出場辞退校
1935年 浪華商(大阪)
1952年 門司東(福岡)
1958年 浪華商(大阪)
1965年 高知商
1967年 津山商(岡山)
1971年 北海(北海道)
1975年 門司工(福岡)
1984年 函館有斗(北海道)
1987年 東海大浦安(千葉)
1992年 神戸弘陵(兵庫)
2000年 敦賀気比(福井)
2006年 駒大苫小牧(北海道)
2022年 京都国際