南海トラフ巨大地震の定例検討会「特段変化観測されず」気象庁

南海トラフ巨大地震

南海トラフで巨大地震が起きる可能性を評価する気象庁の定例の検討会が開かれ「特段の変化は観測されていない」とする評価結果をまとめました。

専門家でつくる検討会は5日、気象庁で定例の会合を開き、南海トラフの想定震源域やその周辺で観測されたデータを分析しました。

巨大地震の想定震源域では先月17日、日向灘でマグニチュード5.7の地震が発生しました。

これについて検討会は、海側のプレートの内部で起きた地震で、地震の規模から南海トラフ沿いの海側と陸側のプレートの固着状況に影響を及ぼすものではないとしています。

また、海側と陸側のプレートの境界付近では、「深部低周波地震」と呼ばれるごく小規模な地震が、紀伊半島中部で先月28日から先月末にかけて観測されたほか、ほぼ同じ時期に周辺の複数の「ひずみ計」で、わずかな地殻変動が観測されました。

いずれも想定震源域のプレート境界が数日から1週間程度かけてゆっくりとずれ動く「短期的スロースリップ」が原因とみられ、これまでも繰り返し観測されていたということです。

これらを踏まえ検討会は「大規模地震の発生の可能性がふだんと比べて相対的に高まったと考えられる特段の変化は観測されていない」とする評価結果をまとめました。

一方、南海トラフ地震をめぐっては、マグニチュード8以上の地震が発生したとき南海トラフ地震臨時情報「巨大地震警戒」が発表され、市町村は、避難が間に合わない可能性がある住民に1週間の事前避難を求めますが、内閣府が行ったアンケートで、対象の住民は少なくともおよそ52万人にのぼることがわかっています。

検討会の会長で東京大学の平田直名誉教授は「臨時情報を有効な情報にするためには、事前避難を求める地域の指定をさらに進めるとともに、避難所の確保などにも取り組んでもらいたい」と話しています。