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自民 臨時総裁選 党内で是非についての立場の違い鮮明に

自民党総裁選

自民党の臨時の総裁選挙をめぐり石破内閣の閣僚では初めて、鈴木法務大臣が実施を求める考えを示しました。
国会議員による書面の提出を3日後に控え、党内では、総裁選挙の是非について立場の違いが鮮明になっています。

鈴木法務大臣は5日午前、旧ツイッターの「X」と自身のブログに臨時の総裁選挙について投稿しました。

この中で鈴木法務大臣は「与党が大敗し、衆議院と参議院の両院で過半数を割り、さまざまな課題が山積する中、政治が停滞することは許されない。自民党への信頼回復のためにも党が一致結束して、ゼロから出直すことが必要だ」としています。

そのうえで「今の状況にあっては総裁選挙を前倒しし、党員の方々にも広く参加いただく総裁選挙を実施することが最善と判断した」として、臨時の総裁選挙の実施を求める書面に署名して、提出する考えを明らかにしました。

石破内閣の閣僚が、臨時の総裁選挙の実施を求めることを表明するのは初めてです。

林官房長官「コメント差し控えたい」

林官房長官は、午後の記者会見で自民党麻生派の鈴木法務大臣が臨時の総裁選挙の実施を求める考えを明らかにしたことについて「自民党における活動に関する事柄であり、政府としてコメントすることは差し控えたい」と述べました。

SNSで署名なつ印済みの書面公表 相次ぐ

臨時の総裁選挙の実施を求める立場からは、来週8日に提出するとしている署名・なつ印済みの書面をSNSで公表する議員が相次いでいます。

旧茂木派の中谷真一衆議院議員は旧ツイッターの「X」に、みずから署名する様子と、署名・なつ印した書面の画像を載せ「一刻も早く自民党を再生させなければならない。私は私の信念のもと署名した」と投稿しています。

また、いずれも国土交通政務官で旧茂木派の高見康裕衆議院議員と旧二階派の国定勇人衆議院議員も署名・なつ印済みの書面の画像を投稿し「国政選挙で示された民意より大事なものはない」とか「政務官であっても前倒しを求めることに何ら問題はない」などと記しています。

さらに、麻生派の今枝宗一郎衆議院議員や旧安倍派の佐々木紀衆議院議員、旧二階派の平沼正二郎衆議院議員も書面の画像を載せ「前倒しを実現するため仲間を増やし続ける」などと投稿しています。

《臨時総裁選の是非 閣僚の反応》

岩屋 外相
記者会見で「総裁選を行ったとしても衆参ともに少数与党であるという現状に変わりはない。この厳しい状況の中、どうやって日本の政治を前に進めていくのかが求められていて、その責任を果たすことによってのみ、自民党への信頼は回復できるのではないか」と述べました。

小泉 農相


臨時の総裁選挙の是非をめぐる自民党内の状況について、小泉農林水産大臣は、閣議のあとの記者会見で、政策を進めるためには党の結束が重要だとした上で「石破総理大臣も一致結束するため、責任ある考えを持っていると思う」と述べました。
この中で、小泉農林水産大臣は、自民党内の状況について「危機感を持っている議員の中には『政策が前に進む環境を実現しなければならない』という思いでいる議員がいることを承知している。世界の情勢などを見れば、党内で割れている場合ではない」と述べました。
その上で「いろいろ難しい局面で自民党の歴代総裁は行動や判断をしてきた。石破総理も『党内がこのままでいい』と思っているわけではないと思う。一致結束するため、責任ある考えを持たれながら、考えていると思う」と述べました。
一方、党内で取り沙汰されている衆議院の解散・総選挙について「党内の一致結束がいちばん重要だ。ただ、解散は非常に重い総理の専権事項なので、詳細をこれ以上述べるのは控えたい」と述べました。

阿部 文部科学相
阿部文部科学大臣は閣議のあとの記者会見で「石破内閣の一員として、行政を停滞させることなく、今ある課題に一つ一つ着実に真摯(しんし)に取り組んでいく必要がある。総裁選挙の前倒しについては慎重に検討すべきだと考えており、現時点で前倒しを求めることは考えていない」と述べました。

村上 総務相
村上総務大臣は閣議のあとの記者会見で「日米関税交渉や南海トラフ巨大地震への対応、財政や金融の問題など、喫緊の重要な問題が山積しているので、政治の空白をつくるべきではない。引き続き、内閣の一員として政策の実現に向けて取り組みたい」と述べました。

平 デジタル相
平デジタル大臣は閣議のあとの記者会見で、自民党の麻生最高顧問が派閥の研修会で臨時の総裁選挙の実施を求める考えを示したことを念頭に「『いまだに派閥があるのか』という感想を持った。最後に残った派閥が合宿をしてそこで派閥の領袖(りょうしゅう)が発言をして流れができるということであれば、党全体で派閥をなくし改革をしようとする中、派閥を残した人たちが得をして自民党が先祖返りしてしまう」と述べました。

《自民党内の反応》

小渕 組織運動本部長
自民党の小渕組織運動本部長は参議院選挙で敗北した責任をとりたいとして、5日までに組織運動本部長を辞任する意向を石破総理大臣に伝えました。これに対し石破総理大臣は進退を預かる意向を示したということです。

有村 両院議員総会長
麻生派の有村・両院議員総会長は、旧ツイッターの「X」で両院議員総会長の辞表を森山幹事長に提出したことを明らかにしました。有村氏は「国政選挙の結果こそ主権者たる国民の最大の民意だと信じる私は現状を看過することができない。悔いや未練はない。一議員として挙党態勢の再構築と国政の本分に尽くしていく」としています。

山本啓介 参議院議員
旧岸田派の山本啓介・参議院議員は自身のSNSで臨時の総裁選挙の実施は求めないという考えを明らかにしました。この中では「自民党総裁はいかなる理由であれ、退くときにはみずから決断するのが常道だと考える。臨時総裁選の申し入れは、もはや石破総理退陣の是非を問うジャッジの様になっているが、本来は『総裁選を前倒しするか否か』という手続きにすぎない」としています。
その上で「政権運営の行き詰まりが避けられないと判断した時こそ、みずから辞意を固めるべきだ。筋道を踏むことが必要で、総裁選の前倒しは求めない。現状維持の擁護ではなく、常道を重んじる立場であり、総裁がみずから身を引き、後に秩序を残すことこそ、国民への誠意であり政治の責任だ」としています。

当選2回の有志議員 ”それぞれの判断を尊重”

臨時の総裁選挙をめぐり、自民党の若手の衆議院議員が会合を開き、国民の期待に応えられる新たな党の体制を構築する必要があるとして、実施を求めるべきだという意見が相次ぎました。
一方、地元の県連などの意向もあり、賛成できないという声もありました。

石破内閣の政務官を含む、自民党の当選2回の有志の衆議院議員およそ10人は、5日朝、国会内で会合を開き、臨時の総裁選挙の是非をめぐり、実施を求める国会議員の書面の提出が3日後に迫る中、意見を交わしました。

会合では、人心を一新し、国民の期待に応えられる新たな党の体制を構築する必要があるとして、実施を求めるべきだという意見が相次ぎました。

一方、地元の県連などの意向もあり、賛成できないという声もあり、それぞれの判断を尊重することになりました。

また、党内で取り沙汰されている衆議院の解散・総選挙については「大義がないのではないか」という指摘も出されました。会合のあと中野英幸・衆議院議員は記者団に対し「引き続き、意見交換しようとなった。国民のニーズに応えられる新しい自民党に作り直すべきだという意見が多かった」と述べました。

当選5回の有志議員 ”中堅・若手を中心に働きかけ”

臨時の総裁選挙の実施を求める自民党の当選5回の有志の衆議院議員が国会内で会合を開きました。

会合には、旧茂木派の笹川・農林水産副大臣や旧二階派の武部・文部科学副大臣、旧安倍派の佐々木紀・衆議院議員、麻生派の井上貴博・衆議院議員、旧岸田派の村井・前官房副長官らおよそ10人が出席しました。

出席者によりますと、会合では、総裁選挙の実施に必要となる過半数の賛同を確保するため、態度を決めていない党内の中堅・若手議員を中心に働きかけを強めていくことを確認したということです。

また、石破総理大臣の自発的な辞任が必要だという意見のほか、党内で取り沙汰されている衆議院の解散・総選挙は行うべきではないという指摘も出たということです。

麻生最高顧問と茂木前幹事長が会談

自民党の麻生最高顧問と茂木前幹事長は5日午後6時ごろから東京都内の日本料理店で会談しています。

この中では、臨時の総裁選挙の是非をめぐって国会議員による書面の提出を3日後に控える中、党内情勢をめぐって意見を交わしているものとみられます。

また、臨時の総裁選挙の実施が決まった場合の対応をめぐっても協議しているものとみられます。党内で唯一の派閥を率いる麻生氏は、3日、「次の衆議院選挙で勝利できる体制を整えることこそ行っていかなければならないことだ」と述べ、臨時の総裁選挙の実施を求める考えを明らかにしています。

また、茂木氏も先に石破総理大臣の辞任を含め党執行部の刷新が必要だという考えを示していて、実施を求めるものとみられます。

《都道府県連の対応》

NHKの取材では、全国47の都道府県連のうち、5日は、岩手、茨城、栃木、東京、長野、三重が実施を求める方針を決めたり、党本部に通知したりしました。また、岐阜と鳥取は実施を求めない方針を決めました。

これまでに実施を求める方針を決めたのは北海道、岩手、茨城、栃木、東京、長野、三重、兵庫、香川、愛媛、宮崎の11の都道県連です。

また、実施を求める方向で意見集約を進めているのは、山形、埼玉、新潟、山梨の4つの県連です。

これに対し、実施を求めない方針を決めたのは、福島、岐阜、岡山、鳥取、大分の5つの県連です。

これ以外の27の府県連は来週8日までに対応を決めることにしています。

《野党の反応》

立憲民主党 野田代表
記者会見で「党内抗争にいつまでたっても決着がつかないことによる政治空白は日本にとって大きなマイナスを生み出している。急務となる物価高対策にも対応していないことは間違いなく政治空白の弊害であり、早く党内で結論を出してほしい」と述べました。

また、衆議院の解散が取り沙汰されていることについては「ここでそんな政治空白をつくっていいのか。何を争点とするのか大義がなく党内抗争の決着のために税金を使うなどありえない。まさかやらないと思うが、そのようなことをしたら『党利党略』どころか『個利個略』だと批判を浴びることになる」と述べました。

日本維新の会 藤田共同代表
熊本市で記者団に対し「赤澤経済再生担当大臣をはじめ、陰に陽に相当努力をしていただいたことにまず敬意と感謝を表明したい。その上で、もともとの税率より高くなることで、かなり影響が出るのは間違いないので、どう支援していくか、党としてもできることを考えていきたい」と述べました。

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