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ポイント付与の仲介サイト通じた寄付募集 禁止へ

総務省

ふるさと納税をめぐっては、10月からポイントを付与する仲介サイトを通じた寄付の募集が禁止されます。総務省では、仲介サイトの運営事業者の間でポイント還元を高める競争が過熱しているとしていて、今後も必要に応じて制度の見直しを続ける方針です。

昨年度の寄付 過去最多 総額約1兆2728億円

ふるさと納税は、都会で暮らす人でも、地方の活性化に貢献できる制度として17年前の2008年に設けられました。

総務省によりますと寄付金や利用者は年々増えていて、昨年度全国の自治体に寄付された総額はおよそ1兆2728億円と、過去最多となりました。

また、去年1年間にふるさと納税を利用して、今年度の住民税の控除を受ける人も、およそ1080万人と過去最多となりました。

自治体からの返礼品や仲介サイトからのポイント還元などを背景に、広く普及してきたふるさと納税ですが、10月からはポイントを付与する仲介サイトを通じた寄付の募集が禁止されます。

総務省「ポイント競争の過熱は趣旨からずれている」

総務省は、仲介サイトの間でポイント還元を高める競争が過熱しているとした上で、「ふるさと納税は、返礼品やポイント目当てではなく、寄付金の使い道や目的から自治体を応援するもので、ポイント競争の過熱はその趣旨からずれている」と説明しています。

ふるさと納税をめぐっては、総務省はこれまでも制度の見直しを続けてきました。

おととしには過度な返礼品競争を防ぐため、自治体が寄付を募るのに使う経費を寄付額の5割以下とする基準を厳格化したほか、食品の産地を偽装するケースが相次いだことを踏まえて、去年からは自治体に対して産地の適正な表示や定期的な調査を求めています

さらに来年10月からは家電製品や加工食品などの返礼品について、メーカー側に、半分を超える価値が対象の自治体内で生まれたことの証明を求めることにしています。

ことし7~8月 去年同時期の1.8倍以上

ふるさと納税の仲介サイト「さとふる」

ふるさと納税の仲介サイトでは10月からポイントを付与する仲介サイトを通じた寄付の募集が禁止されるのを前に、去年の同じ時期を大幅に上回る寄付が寄せられています。

ふるさと納税の仲介サイト「さとふる」によりますと、
ことし7月から8月までの2か月間の寄付額は、去年の同じ時期の1.8倍以上になりました。

また
8月最終週の寄付額は去年の同じ時期の3.1倍以上になりました。

運営会社“前倒しの寄付 増えているか”

運営会社では、10月以降、ポイントが付与されなくなるのを前に、従来より前倒しで寄付を行うケースなどが増えているのではないかとみています。

この会社では、埼玉県にある倉庫で冷凍の返礼品を保管していて、マイナス20度に設定された倉庫内には発送前のホタテやハンバーグなどが所狭しと並んでいました。

会社では、9月以降さらに寄付が増え、ポイント付与の最終日となる9月30日は、サイトが混雑するとみられることから、時間に余裕をもって寄付を行うよう呼びかけています。

さとふる広報グループ 坂上実来子さん

さとふる広報グループの坂上実来子さんは「これまでポイントを重視してサイトを選ばれていた方もいたかと思う。今後は、サイトの利便性や返礼品の拡充などに努めていきたい」と話していました。

海産物が人気の北海道別海町 去年同時期の倍以上

ふるさと納税の返礼品として特産の海産物が人気を集める北海道の別海町では、10月からポイントを付与する仲介サイトを通じた寄付の募集が禁止されるのを前に、従来より前倒しで寄付する動きが出ていて、去年の同じ時期の倍以上の寄付が集まっています。

北海道の別海町では特産のホタテに、サケやイクラといった海産物がふるさと納税の返礼品として全国的な人気があり、昨年度は全国で5番目に多い173億5000万円の寄付を集めました。

10月からポイントを付与する仲介サイトを通じた寄付の募集が禁止されるのを前に、別海町では従来より前倒しで寄付する動きが出ていて
ことし4月から7月までの寄付額は去年の同じ時期と比べておよそ1.3倍に増加しています。

さらに、
直近の8月でみると寄付額は2.6倍以上にのぼっているということです。

別海町総合政策部 松本博史部長

別海町総合政策部の松本博史部長は「制度の変更を前に駆け込み需要が顕著にあらわれている。10月以降の寄付の動きが読めず不安なところもあるが、多くの人たちから寄付の申し込み先として選ばれるように町の魅力を高めていきたい」と話していました。

去年を大幅に上回る寄付に応えようと、町の返礼品提供事業者のひとつ、「野付漁業協同組合」では返礼品のホタテを加工する工場の操業時間を延長してこん包作業にあたっているということです。

野付漁業協同組合 内藤智明専務

野付漁業協同組合の内藤智明専務は「返礼品を楽しみに待っている人たちに早く届けられるように精いっぱい対応していきたい」と話していました。

水戸市 干しいものプレミアム品 コメ先行予約 返礼品拡充

ふるさと納税をめぐり10月からポイントを付与する仲介サイトを通じた寄付の募集が禁止されるのを前に、水戸市では、従来より前倒しで寄付を行う人たちのニーズを取り込もうと、地元特産の干しいものプレミアム品やコメの先行予約の返礼品を拡充させました。

ふるさと納税をめぐっては仲介サイトの運営事業者の間でポイント還元を高める競争が過熱しているとして、10月からポイントを付与する仲介サイトを通じた寄付の募集が禁止されます。

これを前に、水戸市では、従来より前倒しで寄付を行う人たちのニーズを取り込もうと、返礼品を拡充させました。

このうち、茨城県が全国1位の生産量となっている干しいもの返礼品は県内産の紅はるかを使い、1枚ずつ金ぱくをあしらったプレミアム品で寄付額は1箱11万円です。

水戸市がふるさと納税の仲介サイトで干しいもの返礼品を調べたところグラムあたりの価格としては最も高い寄付額だったということで、話題作りや特産品のイメージアップにつなげたいとしています。

このほかコメについては、ことしの新米の先行予約の返礼品をすでに例年の4倍となる16種類に増やしています。

水戸市市民税課 田部田英智副参事

水戸市市民税課の田部田英智副参事は「ポイントの付与がなくなることでことしはこれからふるさと納税の寄付が盛り上がると予測していて、できるだけ返礼品を前倒しで出品しています。この機会に水戸市のほかの産品にも目を向けていただきたいと思います」と話していました。

専門家「大きな影響ない」

法政大学 平田英明教授

ふるさと納税の制度に詳しい法政大学の平田英明教授は、ポイント付与に関する制度の見直しの影響について、「ポイントをもらえなくなっても寄付することで返礼品がもらえる以上は、利用者が今までの行動を大きく変える可能性は極めて低いのではないか」と述べ、寄付額や利用者数に大きな影響はないという見方を示しました。

一方で、「ふるさとと呼ばれる地方を応援しようというところから、何かもらえるということに目が向いていたと思うが、改めて本当に応援していきたい自治体はどこなのか、考え直すきっかけになるのではないか」と指摘していました。

また今後の制度の在り方については、「自治体間での住民税の取り合いという側面があり、格差の拡大が無視できないレベルになってきている。少し規模を減らしていくといった取り組みを真剣に考えるときにきているのではないか」と述べました。

楽天グループ 決定の無効確認求める行政訴訟

ふるさと納税の仲介サイトを運営する楽天グループは、ポイントを付与する仲介サイトでの寄付の募集を禁止する総務省の決定に対し、事業者への過剰な規制だなどとして、決定の無効確認を求める行政訴訟を東京地方裁判所に起こしています。

一方、会社側は10月1日以降、グループが運営する「楽天ふるさと納税」での寄付はポイント付与の対象外になると発表しました。

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