
「トランプ・ルート」計画でイランがアメリカの関与をけん制
旧ソビエトのアゼルバイジャンとアルメニアが、アメリカの仲介で「トランプ・ルート」と呼ばれる回廊を整備する計画を明らかにしたことを受けて、両国と国境を接するイランは「外国の介入による悪影響を懸念する」と表明しました。対立するアメリカによる地域情勢への関与をけん制した形です。
係争地をめぐり長年対立してきたアゼルバイジャンとアルメニア両国の首脳は8日、アメリカのトランプ大統領の立ち会いのもと、和平実現に向けた共同宣言に署名しました。
この中には、アルメニア領をはさんで分断されているアゼルバイジャンの領土を、「トランプ・ルート」と呼ぶ東西の回廊を整備してつなぐ計画も盛り込まれ、トランプ大統領は「世界に平和と安定をもたらす」と誇っています。
これに対し、両国と国境を接するイランの外務省は9日、声明を出し、和平に向けた動きは歓迎するとしながらも「トランプ・ルート」をめぐっては「外国の介入による地域の安全や安定を損なう悪影響を懸念する」と表明しました。
このルートの構想はこれまでもありましたが、イランは、自国とロシアなどを結ぶアルメニアを通る南北の物流ルートを遮断しかねないことから警戒してきました。
イランは、今回、この構想の実現にアメリカが乗り出してきたことで、イランの封じ込めを図ろうとしているものと捉え、けん制した形です。