ロシアのカムチャツカ半島付近で起きた巨大地震から6日で1週間です。地震のあと、3日には周辺の火山で16世紀以来とみられる噴火が発生していて、専門家は、地震との直接の関係はわからないものの、巨大地震のあとに周辺の火山活動が活発化する事例は過去、カムチャツカ半島付近でも確認されていると指摘しています。そのうえで、日本でも巨大地震の発生後に火山活動が活発になる可能性を念頭に置いておく必要性を指摘しています。 カムチャツカ半島付近では7月30日にマグニチュード8.7や8.8と解析された巨大地震が発生し、その後、周辺で火山の噴火が相次ぎました。 地震の前から活発な噴火が続くクリュチェフスコイ火山のほか、これまで噴火活動がみられなかったクラシェニンニコフ火山でも3日、噴火が発生しました。 アメリカのスミソニアン自然史博物館のホームページによりますと、クラシェニンニコフ火山は直前の噴火が1550年ごろとされていて、今回の噴火は、およそ500年ぶりとなる可能性があります。 専門家 “地震の影響受けた可能性 否定できない” 火山のメカニズムに詳しい東京大学の藤井敏嗣名誉教授は、クラシェニンニコフ火山の噴火と巨大地震の直接の関係はわからないとしたうえで、一般的には巨大地震で地盤がひずむと地下のマグマだまりの圧力が下がって、マグマが上昇しやすくなるとされていて、地震の影響を受けた可能性は否定できないとしています。 巨大地震後に火山噴火は過去にも “日本でも可能性を念頭に” さらに、カムチャツカ半島付近では1952年にもマグニチュード9.0とされる巨大地震が起きていますが、地震の翌日や1週間ほど後に周辺の火山が噴火したほか、3年後の1955年にはカムチャツカ半島にあるベズィミアニィ火山で噴火が発生しました。 藤井名誉教授などによりますと、ベズィミアニィ火山の噴火は10世紀以来とみられていて、その後、活発な噴火活動を繰り返すようになったということです。 また、日本に目を転じると、江戸時代の1707年、「宝永地震」と呼ばれる南海トラフの巨大地震の49日後、富士山で「宝永噴火」と呼ばれる大規模な噴火が発生しました。 藤井名誉教授は「火山の下でマグマが準備されていないと、ひずみだけ変化しても噴火に至らない可能性もあり、一筋縄ではいかない。ただ、震源に近い火山で巨大地震後に噴火に至ることはありうると思う。日本でも可能性があるということを考えておいた方がよい」と話しています。