生活保護支給額引き下げ違法判決 原告 減額分支給や謝罪求める

厚生労働省

国が生活保護の支給額を段階的に引き下げたことを、違法とした最高裁判所の判決を受けた国の専門家会議が29日に開かれ、原告や弁護団が参加し、減額された分の支給や、国からの謝罪などを求めました。

生活保護費をめぐって、厚生労働省が、支給の基準に物価の下落を反映するなどとして、2013年から3年にわたって支給額を段階的に最大で10%引き下げたことについて、最高裁判所はことし6月、当時の判断は違法だったとして、引き下げの処分を取り消す判決を言い渡し、国の敗訴が確定しました。

判決を受けて、国としての対応を検討するため、厚生労働省が設置した専門家による委員会の2回目の会議が29日に開かれました。

会議では、原告や弁護団へのヒアリングが行われ、このうち愛知県の原告は「最高裁判決まで11年、生活保護利用者はギリギリの生活を強いられてきた。原告のうち、少なくとも232名が亡くなった。謝罪とさかのぼっての支給、そして検証、再発防止を求める」と訴えました。

このあと、弁護団の弁護士は「国は、手続きをやり直せば改めて引き下げてもよいと主張しているようだが、根本的に間違っている。最高裁判所での審理過程や判断を無視して、行政の都合で新たな処分を行ってはならない」と述べました。

そのうえで原告側は、
▽専門家会議の一般傍聴を認めることや
▽適宜、原告や弁護団の見解を会議で配付すること
▽29日は、このまま会場で傍聴することを認めることを求めました。

29日の傍聴については、委員長の判断で認められませんでしたが、国や専門家会議では、原告や弁護団の要望について今後、対応を検討することにしています。

厚生労働省は、3回目の会議を9月8日に開く方針です。