自民 臨時総裁選 選挙の実施求める議員の名前を公表へ
臨時の総裁選挙の是非をめぐり、自民党の総裁選挙管理委員会は来月、参議院選挙の総括が終わりしだい、ただちに手続きに入ることになりました。選挙の実施を求める議員が署名となつ印をした書面で申し出るとともに、選挙管理委員会は議員の名前を公表することにしています。
自民党の総裁選挙管理委員会は、先週に続いて27日午後、会合を開き、臨時の総裁選挙の是非を判断する手続きについて協議しました。
冒頭、逢沢委員長は「参議院選挙の総括の日程等も示されつつある。党則に基づく大きな判断を議員や各県連の皆さんにお願いする時期もそう遠くないとの認識の中、議論したい」と述べました。
臨時の総裁選挙の実施には党則上、党所属の国会議員295人と、都道府県連の代表者47人の総数の過半数、172人の要求が必要とされていますが、これまで、総裁の自発的な辞任によらない臨時の総裁選挙が行われた例はありません。
27日の会合では、手続きについて詰めの調整を行いました。
そして、党執行部が参議院選挙の総括について、来月2日にも「両院議員総会」を開催して正式にとりまとめを目指す方針であることを踏まえ、総括が終わりしだい、ただちに手続きに入ることになりました。
また、選挙の実施を求める議員が署名となつ印をした書面で申し出るとともに、議員の名前を公表することを決めました。
議員による書面の提出は、手続きの開始から5日以上7日以内の期間で選挙管理委員会が特定の日を設定し、その日の午前10時から午後3時まで受け付け、病気や海外出張などを除き、原則として議員本人が直接、提出することも申し合わせました。
また、都道府県連が実施を求める場合は、正式な機関決定を行った上で、党本部側に連絡を行うとともに書面の提出を求めることになりました。
臨時の総裁選挙を実施するかどうかは、一連の手続きを経て、来月上旬にも決まる見通しです。
臨時の総裁選挙の是非をめぐる手続きについて、自民党の総裁選挙管理委員の1人は、27日夜、記者団に対し、参議院選挙の総括が来月2日に正式にまとまれば、国会議員が書面を提出する期日は来月8日になるという見通しを示しました。
自民 総裁選管理委 逢沢委員長「十分意見を出し議論」
自民党の総裁選挙管理委員会の逢沢委員長は記者団に対し、臨時の総裁選挙を求める議員の名前の公表について「政治的な影響などいろいろな角度から委員に十分意見を出してもらい、議論してもらった。かなり長い時間を使った」と述べました。
そのうえで「それぞれの議員に任せるのが自然な姿ではないかという意見の一方、自民党の情報発信のあり方や透明度にも配慮し、責任を持って公表したほうが党の信頼感が増すのではないかという意見もあった。最終的に委員会として議員の名前を公表することで意見がまとまった」と述べました。
自民党内では賛否両論の受け止め
国会議員の名前が公表されることについて、自民党内では賛否両論の受け止めが出ています。
「現職の総理・総裁である石破総理大臣の進退に関わる重大な案件なのだから当然だ」という賛成意見がある一方、名前の公表が壁となって要求をためらうケースが出てくるのではないかという見方もあります。
実際、一部の議員からは「『石破おろし』に加わって反旗を翻したとみなされる」とか「総裁選挙が実施されず、石破総理が続投した場合、人事で冷遇されるのではないか」といった声が出ています。
また党内には石破内閣で閣僚や副大臣、それに政務官を務める議員が60人以上いますが、石破総理大臣に近い閣僚の1人は「政府の役職を務める議員が総裁選挙を要求するなら、役職を辞して行うべきだ」と指摘しています。
政務官を務める若手議員は「総裁選挙は行うべきだが、名前が公表されると政府内にいる立場では要求しにくい」と話していて、今回の決定は、議員心理にも影響を与えることになりそうです。
自民 中堅議員 賛同への働きかけ強めていくことを確認
臨時の総裁選挙の実施を求める自民党の中堅議員らは27日午前、国会内で会合を開きました。
会合には旧茂木派の笹川農林水産副大臣や旧安倍派の佐々木紀氏、麻生派の井上貴博氏のほか旧岸田派や旧二階派などからおよそ10人が出席しました。
そして総裁選挙の実施に必要となる過半数の要求を達成するため、党内のほかの中堅・若手議員に賛同への働きかけを強めていくことを確認しました。
また今後、改めて会合を開くことも確認したということです。
鈴木宗男議員“総裁選前倒しより解散して信を問うべき”
石破総理大臣の続投を支持する議員からは、報道各社の世論調査で内閣支持率が上昇していることも踏まえ、臨時の総裁選挙を実施することになった場合、石破総理大臣は衆議院を解散して国民に信を問うべきだという意見が出ています。
鈴木宗男参議院議員はみずからのブログで「総裁選挙前倒しの話が出るなら石破総理は解散して堂々と信を問うべきで、その方が国民に理解される。世論は石破総理はやめるべきでないという声が圧倒的で、国民にわかりやすいやり方を進めていく」としています。
また、今月24日に石破総理大臣が小泉元総理大臣らと会談した際には、2005年に小泉氏が行った「郵政解散」が話題になりました。
こうした状況について、党内からは「解散をちらつかせて、総裁選挙を要求させないためにけん制しているのだろう」という見方も出ています。
社民 福島党首「自民党内の政局の話が大きく」
社民党の福島党首は記者会見で「自民党が総裁選挙をやるのかどうかという中で、秋の臨時国会も召集の見通しが立っていない。自民党内の政局の話が大きくなってしまい、参議院選挙で社会をこう変えるんだと訴えたことが議論になっていないのはとても残念だ。総裁選挙があるかないかに関係なく政策を変えていくため、ほかの野党とともに大いに発信し、連携していきたい」と述べました。