検察 「司法取引」運用拡大し特殊詐欺などの捜査に適用検討へ 2025年7月24日 19時43分 事件 容疑者や被告が捜査に協力する見返りに刑事処分を軽くする「司法取引」について、検察が運用を拡大し、特殊詐欺などの捜査に適用していく方向で検討を進めていることが関係者への取材で分かりました。これまで司法取引は、特捜部による独自捜査事件などを対象にかなり限定的に行われてきましたが、特殊詐欺などの被害が拡大する中、犯行グループの摘発につなげるねらいがあるとみられます。 「司法取引」は、容疑者や被告が共犯者など「他人」の犯罪について捜査に協力すれば、見返りに検察が起訴を見送ったり求刑を軽くしたりする制度で、2018年に導入されました。 これまでで適用が明らかになっているのは特捜部が捜査する事件を中心に7年間で5件とかなり限定的な運用となっていましたが、最高検察庁が、運用を拡大して新たに特殊詐欺などの捜査にも適用していく方向で検討を進めていることが関係者への取材で分かりました。 特殊詐欺の被害が拡大する中で、警察が詐欺容疑で摘発したメンバーなどと検察が司法取引を行い、供述を得たり、スマートフォンに残されたやりとりの履歴などを入手したりして、指示役など中枢メンバーの摘発につなげるねらいがあるとみられます。 特殊詐欺にも適用が広がれば全国の検察庁で運用が行われる可能性もあり、最高検察庁では現場の意見を集約し、今後の運用指針を固めるものとみられます。 日本の「司法取引」の現状は 「司法取引」=協議・合意制度は、容疑者や被告が共犯者や首謀者の犯罪について偽りなく供述したり、証拠を提出したりして捜査に協力すると、見返りとして検察が起訴を見送ったり求刑を軽くしたりする制度です。 厚生労働省の元局長の村木厚子さんが無罪になったえん罪事件などをきっかけに、検察が描いた筋書きを密室で無理に押しつける取り調べのあり方が強い批判を浴びたことを背景に、取り調べに過度に頼らず証拠を集める手段として2018年に導入されました。 適用の対象は、贈収賄や詐欺などの経済犯罪や薬物犯罪などと法律で定められていて、企業の不正や組織犯罪などの解明につながると期待されていました。 しかし、実際の運用はかなり限定的となっています。 検察は件数などを明らかにしていませんが、導入から7年、これまでに裁判などで適用が明らかになったのは日産自動車の元会長のカルロス・ゴーン被告らが金融商品取引法違反の罪で起訴された事件など、特捜部が独自に捜査した事件を中心に5件にとどまっています。 こうした状況について刑事手続きのあり方について検討する法務省の協議会では、「容疑者が黙秘する事案が多くなっている中で、実務上のニーズは増していく」などと学者など複数のメンバーから積極的な運用を求める意見も出されていました。 一方で、司法取引をめぐっては無実の人を共犯者に仕立てるなど“巻き込み”の危険性も指摘されていて、実際に適用された事件で、裁判所が供述の信用性を否定するケースもありました。 運用の拡大にあたっては供述だけではなく、物的な証拠や供述を裏付ける客観的な証拠を得られるかが焦点となります。 適用範囲の拡大検討…