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交流を後押しの「ホームタウン」認定 誤解に基づく情報広がる

アフリカ

先週、横浜市で開かれたTICAD=アフリカ開発会議にあわせ、JICA=国際協力機構が交流を後押ししようと、4つの自治体を「ホームタウン」に認定したことに関連して、SNSでは「移民を定住させる制度だ」とか「ふるさとが明け渡される」などと、誤解に基づいた情報が広がっています。自治体には抗議のメールや電話が相次ぎ、SNSで伝えられている事実はないとする見解をウェブサイトに掲載するなどのます。

日本とアフリカのかけ橋となる人材の育成につなげようと、JICAは先週、
▽山形県長井市をタンザニアの、
▽千葉県木更津市をナイジェリアの、
▽新潟県三条市をガーナの、
▽愛媛県今治市をモザンビークの
「ホームタウン」に認定しました。

交流を深めることが目的ですが、「移民を定住させる制度だ」とか「ふるさとが明け渡される」などと誤解した投稿がSNSで広がっていて、なかには500万回以上見られているものもあります。

一方で、ナイジェリア政府のウェブサイトには「日本政府が移住して生活と就労を希望する若者向けに特別ビザを発行する」などと書かれているほか、現地メディアも同様の内容を伝えていて、誤解が広まる要因にもなっています。

JICA「内容の訂正 速やかに行うよう申し入れしている」

今回のTICAD=アフリカ開発会議にあわせてJICA=国際協力機構は国内の4つの自治体をアフリカ各国の「ホームタウン」に認定しました。

これは、経済発展が見込まれるアフリカと日本をつなぐ人材の育成などを目指した取り組みのひとつで、東京オリンピック・パラリンピックの際のホストタウンなど、各国と関係が深い自治体が選ばれています。

JICAによりますと、あくまで研修や視察などを通じた交流を後押しする取り組みで、移民の受け入れを促進するものや特別なビザが発給されるものではないということです。

JICAは「現地の報道などには事実に反する内容や誤解を招く表現が含まれている。内容の訂正を速やかに行うよう申し入れを進めている」としています。

外務省「JICAに事実関係しっかり説明するよう求めている」

外務省は「JICA=国際協力機構の事業であり、JICAに対し事実関係をしっかりと説明するよう求めているところだ」とコメントしています。

千葉 木更津 問い合わせの電話が鳴りやまず

千葉県木更津市にも不安や抗議を訴えるメールや電話が相次ぎ、職員が対応に追われています。

木更津市は4年前の東京オリンピックでナイジェリアの選手が事前合宿を行ったのをきっかけに今回、アフリカ開発会議にあわせて交流を後押ししようと、ナイジェリアのホームタウンの認定を受けました。

しかし、この週末、SNSで誤解に基づいた情報が広がり、市のウェブサイトには「移民が大量に来るのでは」とか「なぜ移民を受け入れるのか」などといった問い合わせが25日朝の時点で500件以上、寄せられたということです。

また、市役所では同じような問い合わせの電話が鳴りやまず、職員が終日、対応に追われていました。

こうした事態を受けて渡辺芳邦市長は、市のウェブサイトに「移住・移民の受け入れやナイジェリアの特別就労ビザなどの発給要件の緩和措置などを要請した事実はありません」などとするコメントを発表しました。

市の担当者は「朝から電話が鳴りやまない状態です。今回のホームタウンに認定された趣旨を正しく理解してもらい、市民の不安を払拭(ふっしょく)していきたい」と話していました。

山形 長井 職員が対応に追われる

山形県長井市の市役所でもおよそ10人の職員が対応に追われています。

市によりますと抗議や問い合わせのメールは25日夕方までにおよそ530件寄せられているほか、電話も多数かかってきているということです。

タンザニアとはこれまで、東京オリンピック・パラリンピックで、ホストタウンになったり、JICAの青年海外協力隊を通じて、現地の職業訓練校の教員と学生が訪れたりして交流を続けてきました。

抗議や問い合わせが相次いでいることを受けて、市はホームページで、「移民を積極的に受け入れるといった事実は一切ございません」などと説明しています。

長井市の内谷重治市長は「タンザニアとは地道に交流を続けてきたので、誤った解釈になり残念だ。日本の人たちはアフリカの人たちに偏見を持たないでほしい」と話していました。

愛媛 今治 問い合わせが相次ぐ

愛媛県今治市によりますと、市にはメールで25日午後5時までにおよそ1000件、電話では25日だけでおよそ450件の問い合わせが寄せられているということです。

この中には「移民政策なのか」とか「モザンビークの故郷になるのか」といった質問や、市民への説明がないといった意見もあったということです。

「ホームタウン」には市内で盛んな造船業に関連して、モザンビークで生産されている植物が船舶のバイオ燃料の原料として注目されていることなどから交流が進んだのがきっかけとなり認定されたということです。

今治市は、問い合わせが相次いでいることについて「移民政策を進めるものではなく文化交流や人材の育成、産業の連携が目的だ」と説明していて、正しい情報を入手するよう呼びかけています。

新潟 三条 対応にかかりきりに

新潟県三条市にも抗議や問い合わせが相次いでいて、市のサイトに「移住や移民の受け入れにつながるような取り組みではございません。また、特別就労ビザの緩和措置などが発生するとSNS等で報じられておりますが、その内容は事実と異なります」とする市長のコメントを掲載しました。

また、担当者によりますと、これまでに数千件のメールが寄せられているということで「電話は朝から鳴り止まず、担当課の職員全員がこの対応にかかりきりになっている。正しい情報を確認してもらいたい」と話していました。

※この記事を当初掲載した際、千葉県木更津市への問い合わせの件数について「25日だけで500件を超える」としていましたが、正しくは「25日朝の時点で500件以上」でした。失礼しました。

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