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福祉の相談支援 人員確保が困難に 機能集約化で特例制度創設へ

厚生労働省

介護や障害福祉など、分野ごとに配置されている福祉の相談支援に当たる人員の確保が、今後、人口減少によって特に地方で難しくなるとして、厚生労働省は、機能を集約化するための特例制度を創設する方針を固めたことがわかりました。

国の推計によりますと、福島県の一部の町村を除いた全国およそ1700の市区町村のおよそ3割は、2050年までに2015年と比べて人口が半数未満になるとされています。

こうした中、厚生労働省は、特に地方の自治体では、現在は分野ごとに置かれている福祉の職員の確保が難しくなるとして、一部の機能を集約化するための特例制度を創設する方針を固めました。

具体的には、介護や子ども、障害福祉、それに生活困窮者支援の4つの分野について、住民からの相談を受けて支援につなげる機能を一本化します。

支援が必要な家庭には
▽高齢の親が子どもを支えるいわゆる「8050問題」や
▽子育てと介護の「ダブルケア」など、複合的な問題を抱えているケースも多く、制度の縦割りを超えた対応も可能になるとしています。

また、都道府県からアドバイザーを派遣したり、地域の住民との連携を強化したりする方針で、厚生労働省は一部の自治体で先行的に実施するための費用を来年度予算案の概算要求に盛り込む方針です。

社会福祉学が専門で同志社大学社会学部の永田祐 教授は「特に人口の少ない地域では、配置が義務づけられた専門職の確保も難しくなっている。行政の『縦割り』を解消するためにも機能の集約は必要な選択だが、支援者に負担がかからないよう、支援者へのバックアップ体制もしっかり考える必要がある」と話していました。

専門家「支援者を孤立させないための支援 同時に必要」

相談支援機能の集約化について、社会福祉学が専門の同志社大学社会学部の永田祐 教授は「人口の少ない中山間地域などでは相談支援を担う人手が特に足りていない。例えば高齢者からの相談を受け付ける『地域包括支援センター』では社会福祉士や保健師などの専門職を配置することが義務づけられているが、特にこうした専門職の確保が課題で、募集をかけても人が集まらないということが実際に起きている。近年は都市近郊でも同様の声が聞かれるようになっていて、近い将来は都市部を含めて問題となる可能性がある」と話していました。

そのうえで、「家族の形の変化や地域のつながりの希薄化、雇用の不安定化などを背景に『8050問題』など、これまで想定されていなかった困難が生じている中で、今までの制度では支援が届かなくなってきている。相談支援の機能の集約化をしていくことで、『縦割り』の制度を包括的な仕組みにしていくきっかけにするような発想の転換が求められている」と指摘していました。

一方で、「集約化する場合、1人の支援者が高齢者や障害者などすべての相談に対応するような形だとうまく機能しない場合があるので、支援者を孤立させないための支援も同時に必要だ。例えば、近隣の市町村で協力して拠点を整備したり、小さな自治体では確保できない専門職を都道府県から派遣したりするなど、バックアップのあり方をしっかりと検討することが重要だ」と話していました。

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