“人いきれ” で熱中症に? 夏休みのイベントで高まるリスク
夏休みのこの時期、祭りや花火大会に参加する人も多いと思います。その際、いつも以上に注意が必要なのが熱中症です。多くの人が集まる場所では「人いきれ」で熱中症のリスクが高まるということです。
千葉 木更津の花火大会 救護所増やすなど対策を強化

15日夜に千葉県木更津市で開催される花火大会の会場では、屋台が並び、午後3時ごろから多くの来場者が列を作っていました。
千葉市から訪れた17歳の女子高校生は「まとわりつくようなサウナみたいな暑さです。携帯型の扇風機を使ったり冷たい食べ物を食べたりして暑さをしのぎたいです」と話していました。
3歳と4歳の子どもと訪れた木更津市の30代の女性は「これからもっと混雑すると思うので、いまのうちに買いたいものを購入して、早めに帰宅しようと思います。子どもたちには水分をとらせるようにしています」と話していました。

主催者によりますと、去年はおよそ28万人が訪れ、熱中症になった人もいて、ことしは救護所の数を増やしたり、救急車が待機できるスペースを設置したりして、対策を強化しているということです。
環境省 “人が集まる空間は風通しが悪く 熱中症になりやすい”

環境省は、イベントの主催者などに対し「夏季のイベントにおける熱中症対策ガイドライン」を示しています。
このなかで、イベントの開催によって屋台が並び人の混雑が長時間続いた道路と、別の日の屋台や混雑がない同じ道路の「暑さ指数」を比較していて、結果は昼夜ともに3から4程度高くなったとしています。
また、イベント開催時の会場内とイベント後の周辺エリアの「暑さ指数」の比較では、会場内より最寄り駅付近のほうが1程度高く、帰路につく人たちが集中した結果だとみられるということです。
環境省は、人が集まる空間は風通しが悪いことなどから熱中症になりやすいとして、主催者に対し、
▽入場ゲートの数を増やしたり、幅を広くしたりすること、
▽十分な数のトイレを用意すること、
▽給水所や救護所、自動販売機などの場所を明示することなどを、
呼びかけています。
また、主催者から参加者に呼びかけるべきこととして、
▽無理をせず、体調にあわせて参加の判断をすること、
▽水分や塩分の補給を定期的に繰り返すこと、
▽帽子や日傘などで直射日光を遮ることなどを、
挙げています。
人いきれで熱中症 注意するポイントと対策は 専門家に聞く

《「人いきれ」子どもはより影響受けやすい》
熱中症に詳しい済生会横浜市東部病院の谷口英喜 医師によりますと、多くの人が集まる花火大会や夏祭りなどのイベントでは、人の熱気などで湿度が上がる「人いきれ」で熱中症のリスクが高まるということです。
こうした状況では、子どもはより影響を受けやすいということです。
《飲酒した場合も注意》
また、飲酒した場合は、利尿作用で脱水症状になりやすかったり、気分が高揚して体の状態に意識が向きづらくなったりするほか、会場でトイレに並ぶのを避けようと水分を控えることも考えられるため、イベントに参加する際は特に注意が必要だとしています。
《冷房のある場所で体を冷やしリセット》
対策としては、午前中からイベントに参加する場合は、数時間に1回、冷房の効いている場所で体を冷やしてリセットすることが効果的だということです。
《少量ずつ水分をとる》
また、少量ずつ水分をとるとトイレに行く回数が減ると言われているため、夜間でも10分に1回程度、ひと口ほどの水分をとり続けるのがよいということです。
谷口医師は「毎年この時期になると浴衣姿の熱中症患者が搬送されてくるケースが多くなる。人が多く集まる場所では熱中症のリスクが高まることを認識してもらい、イベントに楽しく参加できるよう、対策をしっかりとってほしい」と話していました。