
ノーベル賞 日本被団協の功績たたえる催し ノルウェーで開催
ノルウェーの首都オスロでは、ノーベル平和賞を受賞した日本被団協=日本原水爆被害者団体協議会の功績をたたえる催しが開かれました。講演した日本被団協の和田征子さんは「核兵器は人類と共存できず、人間の責任において無くさなければならない」と述べ、核兵器の廃絶を訴えました。
この催しは、広島に原爆が投下されてから80年となった6日、オスロ中心部にあるノーベル平和センターで開かれました。
はじめに、去年、日本被団協にノーベル平和賞を授与したノルウェー・ノーベル委員会のフリードネス委員長が日本被団協の功績を改めてたたえるとともに「この平和賞は、核の脅威がわれわれの目の前に迫っているという警告であり、核兵器とは何かを思い起こしてもらうことへの呼びかけでもある」と述べました。
続いて、日本被団協の事務局次長を務める和田征子さんが講演しました。
1歳の時に長崎で被爆した和田さんは、母親から聞いた原爆投下後の長崎の様子を伝えたうえで「核兵器は人類と共存できない。人間によって作られ使用されたのだから、人間の英知と良心、そして、責任において無くさなければならない」と述べて、核兵器の廃絶を強く訴えました。
催しに参加したオスロに住む20代の女性は「生存者から話を聞けなければ、私たちは忘れてしまいます。証言に耳を傾けることが大切だと思います」と話していました。
和田征子さん「核抑止はありえない」
ノルウェーのオスロで開かれた催しで講演した日本被団協の事務局次長、和田征子さんは、現地でNHKのインタビューに応じました。
この中で和田さんは、世界で核抑止力を強化しようとする動きがみられることについて、「核抑止はありえないことです。核兵器で国や人の安全保障が生まれるとは考えていません。核を使うということは暴力で、それによって平和を保てるということは絶対にありえないと思います。為政者の人たちは、ピースメーカーであるべきです」と話し、核保有国を含む各国の指導者が信念を持って平和のために行動するべきだと訴えました。
また、和田さんは被爆者の平均年齢が86歳を超えていることに触れ、「自分の体験をしっかり持っている人がいなくなったら、誰がこの広島と長崎の悲劇を語り継ぐのかと考え、誰も話すことができなくなると思うと本当に私は涙がでるくらい怖いです。孫にも、ひ孫にも、今の時代の人だけでなく伝え続けていきたい」と述べ、被爆体験を継承し続けることが重要だと話していました。