アメリカのトランプ政権が、貿易赤字が大きい国や地域などを対象に新たな関税を課す期日が、日本時間の8月1日午後1時すぎに迫っています。日米交渉で合意した日本に対する15%の関税について、日本政府は1日を念頭に大統領令の署名を求めています。※新たな関税を課す期日があすに迫った日米の動きを随時更新してお伝えします。 目次 トランプ大統領の関税措置 ねらいは アメリカの小売企業はコストが増加 値上げの動きも トランプ政権は、ことし4月、すべての国や地域を対象に一律10%の関税を課す一方、貿易赤字が大きい国や地域などを対象とした「相互関税」については、金融市場の混乱などを背景に発動したその日のうちに7月9日までの90日間、措置を一時停止しました。 トランプ大統領は、その期限をさらに8月1日まで延長する大統領令に署名するとともに、国や地域ごとの新たな関税率を設定する書簡を公表しました。 書簡では日本に対する関税率は25%となっていましたが、日米交渉の結果、15%とすることで合意しています。 ただ、合意に関する文書は日米両政府で取り交わしておらず、いつから関税が15%になるのかは明確になっていません。 武藤経済産業大臣は29日、閣議のあとの記者会見で「8月1日の期限を念頭に、速やかに必要な大統領令の発出などの措置を求めている」と述べるなど、日本政府としてはアメリカ側に早期に大統領令に署名するよう求めていて、31日中にトランプ大統領が署名するかが注目されています。 一方、日本を含む多くの国では現在課せられている10%の一律関税からは、関税率が引き上げられるため、アメリカでは一段とインフレの懸念が高まることになります。 また、各国にとっても世界最大の市場であるアメリカで関税によるコストが増加することで経済への打撃が広がることが懸念されています。 林官房長官「大統領令の発出など引き続き強く求めていく」 林官房長官は午前の記者会見で「アメリカと韓国との合意を含め、関連の動向を高い関心を持って注視していくとともに、わが国への影響を引き続き十分に分析していく」と述べました。 また、日米合意を受けて関税を引き下げるために必要な大統領令について「現時点では発出されていないが、アメリカに対しては来月1日の期限も念頭に速やかに大統領令の発出などの必要な措置を取るよう引き続き強く求めていく」と述べました。 トランプ大統領の関税措置 ねらいは トランプ大統領が実施する関税措置には、貿易赤字の解消、製造業の国内回帰、減税などの財源確保、そして、あらゆる問題の解決に向けた“交渉のカード”という4つのねらいがあります。 【貿易赤字の解消】貿易赤字の解消は、トランプ大統領が強くこだわってきたテーマです。トランプ大統領は、長年、アメリカは、外国に富を奪われ続けており、巨額の貿易赤字を計上し続けていると主張してきていて、“貿易の不均衡を是正”し赤字を解消する手段として関税を位置づけています。…