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地方銀行で再編 金融庁長官 “銀行の戦略を後押しする考え”

金融

地方銀行で再編の動きが活発になっています。業界を監督する金融庁の伊藤豊長官が、NHKのインタビューに応じ、地域の金融機関には資金の貸し出しだけでなく、企業どうしの連携を促すなど多様なサービスを提供する強固な基盤が欠かせないとして、再編を含め銀行の戦略を後押しする考えを示しました。

地方銀行をめぐっては、ことし4月に新潟県の第四北越フィナンシャルグループと群馬県の群馬銀行が経営統合することで基本合意したほか、千葉銀行と千葉興業銀行も経営統合する方向で調整していることが明らかになるなど再編の動きが活発になっています。

こうした地方銀行をはじめ金融機関を監督している金融庁の伊藤長官は今月、NHKのインタビューに応じ、最近の地方銀行の再編の動きについて「預金の獲得だけでなく、広い意味での金融サービスを提供するためにどういう経営主体が最適かという判断をしていると思う」と述べました。

また、伊藤長官はこれからの地方銀行には、ネットワークを使って大学やNPO、それに企業の連携を促したり、経験豊富な経営人材を企業に紹介したりするなど貸し出し以外にも多様なサービスが求められていると指摘しました。

そのうえで「サービスを提供するには基盤がしっかりしていないといけない。財務基盤もあれば人的基盤も必要だ。そのための戦略があるかどうかだ」と述べ、合併や統合をはじめシステムの共通化や異業種との連携など銀行の基盤づくりに向けた戦略を国としても後押ししていく考えを示しました。

地方銀行 再編に向けた動き活発に

地方銀行の間では再編に向けた動きが活発になっています。

ことしに入ってからは
▽愛知県の愛知銀行と中京銀行
▽青森県の青森銀行とみちのく銀行が、
それぞれことし1月に合併し、新たな銀行として営業を始めました。

また
▽福井県の福井銀行と福邦銀行
▽長野県の八十二銀行と長野銀行は、
それぞれ来年の統合を予定しています。

さらに最近も再編に踏み切る新たな動きが相次いでいて
▽ことし4月には新潟県の第四北越銀行を傘下に持つ第四北越フィナンシャルグループと群馬県の群馬銀行が再来年4月をめどに経営統合を目指すことで基本合意しました。

そして先月には
▽資産規模で全国有数の地方銀行の一つ、千葉銀行が同じ県内の千葉興業銀行と経営統合に向けた調整に入ったことも明らかになりました。

地方では人口減少や高齢化などで市場が縮小していますが、市場の規模に対して金融機関の数が多いといった指摘もあります。また、金融庁も地方銀行の経営統合や合併の費用を支援する制度をつくり、再編を後押ししています。

異業種からの参入が相次ぎ金融サービスが年々、高度化する中、地方銀行にとっては地域への対応以外にも専門人材の確保やIT分野などへの投資が課題となっていて、今後、再編や連携強化の動きが一段と活発になることも予想されます。

地方銀行 再編で暮らしは変わるか

地方銀行の再編や連携によって身近な金融サービスが変わる可能性もあります。

金融機関の合併や統合では、顧客基盤の拡大だけでなくシステムを共通化すればコストの削減も進めやすくなり、収益力=いわゆる“稼ぐ力”の向上が期待されています。

金融機関の収益力が高まれば、定期預金など預金サービスの充実や企業への積極的な融資につながる可能性があります。

また、地方銀行には預金や融資だけではなく、地域経済を支えている企業や個人の相談に応じるコンサルティングとしての役割も期待されています。

地域の企業が抱える課題は、事業承継や人手不足、デジタル化や温暖化への対応など多岐にわたっています。

こうした“非金融”のニーズに応えるためには、ノウハウのある人材やIT分野への積極的な投資がカギになるとされていて、これらに対応していくために再編の道を選択する地方銀行が今後増える可能性もあります。

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