アメリカのABCテレビは、保守系の若手政治活動家の殺害事件を受けたトランプ大統領の支持者の言動をやゆするような発言があったトーク番組を休止すると発表し、トランプ政権によるメディアへの圧力や言論の自由をめぐる議論を呼んでいます。
アメリカの人気コメディアン、ジミー・キンメル氏は、15日に放送されたABCテレビのトーク番組で、保守系の若手政治活動家チャーリー・カーク氏が殺害された事件を受けたトランプ大統領の支持者の言動について、「事件を使って政治的な得点稼ぎをしようとしている」などとやゆするような発言をしました。
この発言をめぐってABCテレビは17日、番組を無期限で休止すると発表しました。
系列局の一部を所有する会社は声明で「キンメル氏の発言は不快かつ無神経で、意見や価値観の多様性を反映していない」としています。
20年以上続くこの番組は、キンメル氏がジョークや皮肉を交えて政治家を痛烈に批判することで知られ、トランプ大統領は18日、「彼は才能がないからクビになった」と述べ、放送休止を歓迎しました。
ただ、休止に先立って、FCC=連邦通信委員会のトップがABCテレビの放送免許の取り消しを示唆していたこともあって、野党・民主党やメディアの関係者から「権力の乱用だ」といった批判が相次ぐなど、トランプ政権によるメディアへの圧力や言論の自由をめぐる議論を呼んでいます。
トランプ大統領「彼らは私を悪くしか伝えない」
トランプ大統領は18日、訪問先のイギリスからアメリカに戻る機内で記者団に対し、「どこかで読んだが、テレビ局の97%が私に否定的だということだ。それでも私は大統領選挙で7つの激戦州すべてを制し、たやすく勝利した」と述べ、大半のメディアの伝え方と民意にはかい離があると強調しました。
そして、「彼らは私を悪くしか伝えない。おそらく彼らの放送免許は取り上げられるべきだと思う」と述べたうえで、FCC=連邦通信委員会のカー委員長に判断を委ねる考えを示しました。