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「メガソーラーが猛暑や大雨被害に影響?」根拠ない情報が拡散

気象

8月、九州を襲った記録的な大雨による浸水被害、そして、この夏の記録的な暑さ。

これらに大規模な太陽光発電施設「メガソーラー」が影響しているとする投稿が、SNSで広がっています。

ただ、メガソーラーの設置面積は地域全体の広さに比べると限られていて、専門家は浸水の状況や気候に影響を及ぼすものではないと否定しています。

拡散は7000万回以上に

北海道帯広市で日中の最高気温が40度になると予想された、7月24日。Xで拡散された、こちらの投稿。

メガソーラーが気温の上昇に影響していると発信しています。投稿は1万2000回以上リポストされ、1200万回以上表示されています。

その後、Xで同様の主張をする投稿は、確認できただけで50件以上。閲覧回数は合わせて7000万回以上に上っています(いずれも8月20日時点)。

さらにThreads(スレッズ)やInstagramなどでも、同様の主張が広がりを見せました。

「酷暑の要因はメガソーラー」専門家は否定

こうした事実はあるのか。

複数の専門家に取材すると、施設のそばではパネルが熱を吸収するなどして、局所的に温度が高くなる可能性はあるといいます。

ただ、地域の気温への影響は、地表面や風などの方が大きく、メガソーラーが設置されている面積は地域全体の広さに比べると限られるため、影響はないと考えられるとしています。

実際に、ヒートアイランド現象などに詳しい、大阪工業大学の高山成教授が分析をしています。

メガソーラーの近くにあるアメダスの観測点と、ほぼ同じ標高にある近隣の観測点の気温を、設置される前後で比較したところ、気温の上昇は見られなかったというのです。

高山教授
「メガソーラーといっても、周辺からすると非常に小さなスケールになるので、影響圏はその範囲内に限られるのではないでしょうか。パネル周辺の温度は上がるかもしれませんが、地域に高温をもたらすかというと、考えづらい。今年の夏の暑さについても、因果関係があるかといえば、違うと思います」

また、気候変動に詳しい東京大学未来ビジョン研究センターの江守正多教授は、記録的な暑さは、高気圧やフェーン現象、地球温暖化などによるものだとしたうえで、次のように説明しています。

江守教授
「気温が記録的に高いのは日本全体、あるいは世界的に起きている現象で、これをメガソーラーと関連付けるのは合理的ではありません。ことしの酷暑は、高気圧や台風の下降気流、フェーン現象の影響が重なって起きています。温暖化で大気中の温室効果ガスが増え地球全体で平均気温が上がっていますが、ここに猛暑の気圧のパターンが重なったことで高温の記録が出ているのです」

熊本の浸水被害 県と専門家は関連否定

記録的な大雨による浸水被害に、メガソーラーが影響しているという投稿も拡散しています。

8月11日、熊本県内では大雨の特別警報が出されるなどして、九州ではこれまでに7人が死亡、1人の行方がわからなくなっています。

Xでは、熊本県の浸水被害についてメガソーラーが原因だとする投稿が広がり、8月20日の時点で800万回以上閲覧されているものもあります。

しかし、浸水被害は線状降水帯が発生し、広範囲に記録的な大雨が降ったことによるもので、熊本県エネルギー政策課は、次のように関連を否定しました。

熊本県エネルギー政策課
「今回の水害は九州北部の広範囲に線状降水帯が発生し、記録的大雨が降った被害だと認識している。広範囲に雨が降って、小さい川があふれて浸水したものと考えられるほか、メガソーラーの施設がない市町村でも被害が発生していて、それを踏まえても水害とメガソーラーに因果関係があるとは考えていない

また、江守教授は、「特に太陽光発電の設置場所の安全面や排水設備の工事が不十分なケースでは、すぐ下流で土砂災害等をもたらす可能性は一般論としてはある」としたうえで、こう説明しています。

江守教授
「太陽光発電の設備のため、保水率が落ちている区域が多少あったとしても、流域全体の面積に占める割合はわずかで、今回に限らず、山地の太陽光発電設備が平野部の大規模な浸水被害に影響を及ぼすことは、まず考えられないと思います」

「情報源調べて 信用できる情報か判断を」

メガソーラーをめぐって、こうした情報がSNSで広がるのはなぜか。

その背景について、江守教授は次のように指摘しています。

江守教授
「地域によっては、太陽光発電所をめぐって乱開発が進み、実際に影響を受けている人たちがいることが背景にあると思います。そこに関しては是正されていく方向で、社会の仕組みを整えていくべきだと思います」

「また、太陽光発電を含む気候変動への対策が押し付けられているように感じ、反感を持っている人たちも出てきています。こうした反感がポピュリズムといった政治的な手法の『ネタ』にされてしまっているところもあります。拡散されている情報には、意図的に流されているものもあるのではないでしょうか」

「安易に同調してしまうと拡散に加担してしまうので、本当かなと思ったときは、情報源などを調べてから、信用できる情報かどうか判断してほしい」

(機動展開プロジェクト・藤原哲哉、籏智広太)

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