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熊本 土砂崩れ巻き込まれ男性死亡 妻「父ちゃん守ってくれた」

熊本県

家族とともに自宅から避難しようとした際に、熊本県甲佐町で発生した土砂崩れに巻き込まれて死亡した57歳の男性の妻が取材に応じ、「私と子どもが助かったのも、父ちゃんが守ってくれたおかげだと思います」と話していました。

11日午前4時ごろ、甲佐町豊内の増田佳明さん(57)は、自宅の裏山で発生した土砂崩れに巻き込まれ、犠牲になりました。

当時の状況は-

妻の増田安理沙さん(33)が、13日夜の葬儀を前に、報道各社の取材に応じ、当時の状況を語りました。

安理沙さんによりますと、11日午前2時すぎ、甲佐町で避難指示が出され、そのおよそ2時間後には、自宅前の駐車場が水につかり始めたため、夫婦と4歳の長女、それに1歳の長男の家族4人で避難することを決めました。

まもなく急激に水かさが増してきて、急いで車に乗り込んで自宅を出ましたが、周囲の道路も冠水していたため、家のすぐ近くで車を止めました。

夫は車の外に出て、周囲の状況の確認などをする中、安理沙さんが、不安そうな表情を浮かべる子どもたちに、「一緒に頑張ろうね」と声をかけたあとのことでした。

突然、裏山の斜面が崩れて、土砂崩れが発生しました。

大量の土砂がフロントガラスを割って車に流れ込み、運転席で1歳の長男を抱いていた安理沙さんの体の一部と、助手席の4歳の長女の足元が土砂に埋もれました。

ほとんど身動きが取れない中、偶然、手元にあったスマートフォンで119番通報をして、泣きじゃくる子どもたちを励ましながら救助を待ち続けたといいます。

そして、およそ1時間後、現場に駆けつけた消防隊員たちにスマートフォンの明かりで居場所を知らせ、救助されました。

しかし、車の外にいた夫の行方は、わからなくなっていました。

土砂崩れの発生から9時間半後、増田佳明さんは、土砂の中から意識のない状態で見つかり、その後、死亡が確認されました。

妻「父ちゃんが守ってくれた」

安理沙さんは「声も聞こえないような大雨の中、夫は車の外に出て、傘を差してずぶぬれになりながら、いろいろなことに気を配ってくれていました。土砂崩れが起きる直前も、車の窓ガラスを指でたたいて、車内にいる子どもたちと遊んでいたのを覚えてます。私と子どもが助かったのも、父ちゃんが守ってくれたおかげだと思います」と話していました。

そのうえで、「本当に悔しくてしかたがありませんが、過去ばかり見ても夫が悲しむだけだと思います。夫が安心してくれるよう、母親として頑張っていきます。これまでの常識では考えられない雨の降り方でした。同じような悲しい思いをする人が1人でも減ってほしいです」と話していました。

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