トカラ列島近海の地震 専門家“数か月続く可能性 備えを” 2025年7月10日 18時11分 地震 トカラ列島近海で続く地震活動について、専門家は、地殻変動のデータや地震の規模からマグマや熱水などの流体が上昇してきた可能性も考えられるとしています。また、一連の活動は過去に伊豆半島の沖合で起きた活発な地震活動と似ている点もあるとして、活動が数か月続く可能性も念頭に備えを続ける必要があると指摘しています。 トカラ列島近海で続く活発な地震活動では、専門家による解析で、今月2日からの3日間で小宝島と宝島が南北に10センチ近く離れるような地殻変動が起きていたことが明らかになっています。 地殻変動や火山活動に詳しい東京大学地震研究所の青木陽介准教授は、観測点も少なく判断は非常に難しいとした上で、地殻変動の状況などから、火山活動の影響を受けている可能性があると指摘しています。 地下のマグマや熱水などの流体が上昇して地殻の中を押し広げていた場合、体積はおおむね100万から500万立方メートルほどではないかと推定しています。 一方、仮にマグマが上昇していた場合、すでに日数がたっていることから、周囲の岩盤に冷やされて、現時点で噴火に至る可能性は低下しているのではないかとみています。 また、地震の発生状況や周辺に火山が多いという状況から、伊豆半島の東の沖合で起きた群発地震のうち、1980年代や90年代の活発な活動に似ていると指摘しました。 「伊豆東部火山群」の群発地震 気象庁によりますと、静岡県の伊豆半島東部やその沖合に広がる「伊豆東部火山群」では1970年代後半から2010年代にかけて群発地震がたびたび起きていました。 このうち80年代から90年代が特に活発で、1989年は地震活動が6月30日から69日間続きました。 この間、震度1以上を観測した地震は494回、マグニチュード4以上が36回で、最大規模の地震はマグニチュード5.5でした。 また、7月13日には静岡県伊東市の数キロ沖の海底で噴火が発生しました。 国土地理院によりますと、噴火の前後には地震が多発した領域を挟む2つの観測点間の距離が16センチ伸びる大きな変動が観測されました。 こうした観測データなどから、一連の地震や海底噴火は、マグマがごく浅い場所まで上昇したことで起きたと考えられています。 青木准教授は、今後の見通しを示すのは難しいとしながらも、このまま収束するパターンのほか、マグマや熱水などの流体がさらに地殻内に入ってくることで活動が活発になるパターンも考えられるとしています。…