ヘルパー不足や介護報酬の引き下げなどで、訪問介護の経営環境が厳しさを増す中、ことし上半期の事業者の倒産件数が全国で45件と、この時期では最も多くなったことが分かりました。件数を取りまとめた信用調査会社は「中規模な事業者にも倒産が広がりつつあり、状況が深刻化している」と指摘しています。

訪問介護は、ヘルパーが高齢者の自宅などを訪れ生活を支えるサービスで、全国で100万人以上が利用しています。

東京商工リサーチがことし1月から6月までの訪問介護事業者の倒産件数を調べたところ、合わせて45件と、去年の同じ時期より5件増え、上半期で最も多くなったことがわかりました。

規模別に見ますと、
▽従業員10人未満の小規模な事業所が36件と最も多くなっていますが、
▽従業員が10人以上50人未満の事業所で8件、
▽50人以上の事業所でも1件ありました。

倒産が増加する背景には、昨年度の介護報酬の引き下げや利用者の減少などによる収入の低下に加え、必要なヘルパーを確保できず、人手不足で事業が継続できないことなどがあげられるということです。

東京商工リサーチは「これまでは小規模な事業所の倒産が多くを占めていたが、厳しい経営環境が続く中、中規模な事業者にまで広がりつつあり、状況が深刻化している。国などが賃上げや経営を維持するための支援を行っていく必要がある」としています。