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熱中症 屋内で死亡 エアコン適切に使いこなせず

熱中症

東京23区で、2013年からおととしまでに熱中症が原因で屋内で亡くなったおよそ1300人のうち、6人に1人がエアコンを適切に使いこなせていなかったことが研究チームの分析でわかりました。

東京大学大学院と東京都監察医務院は、2013年1月から2023年9月までに東京23区で熱中症が原因で亡くなった1447人を対象に背景を分析しました。

その結果、およそ91%にあたる1319人が屋内で亡くなっていました。

このうち、サウナなどを除いた1295人の中では、エアコンがあるのに使っていなかった人が581人と最も多く、次いでエアコンが無かったケースが381人でした。

さらに、エアコンを適切に使いこなせていなかったケースが213人で、6人に1人にあたります。

エアコンを適切に使いこなせていなかった中には、故障のほか、28度で設定されていたものの「暖房」になっていたり「送風モード」になっていたりしたケースもありました。

東京大学大学院医学系研究科の橋本英樹教授
「エアコンを適切に使いこなせずに熱中症で死亡した人が少なくないことを社会で認識する必要がある」と指摘しています。

また、1人暮らしの高齢者が多いとしたうえで「何らかの理由でエアコンを適切に使いこなすことが難しかったとみられる。知り合いどうしや地域で目配りや声かけをしていくことが重要だ」と話しています。

【検証】エアコンの設定を誤るとどうなるのか

エアコンの設定を誤るとどうなるのか、確かめてみました。

検証は、暑い室内に居続けることを避け、水分や塩分をこまめに補給しながら行いました。

まずは、「暖房」と「冷房」の違いです。

室内の温度が31度の状況で、28度になるようリモコンで設定し「暖房」を押します。

しかし、しばらくたっても、風は送られてきませんでした。

メーカーによりますと、すでに設定温度を超えている場合は、それ以上暖める必要がないため風が出ないようになっているということです。

ボタンを押してから、およそ30分後には室温が35度を超えていました。

次に、「送風モード」を試しました。

31度の室温でリモコンのボタンを押すと、風が送られてきました。

ただ、涼しさは感じられませんでした。

1時間後も送風は続いていましたが、風は、なまぬるく感じられました。

この日、周辺の外の気温は最高気温が37度ちょうどを観測し、「送風モード」にしてから2時間後、室温は36度ほどまで上がりました。

設定を誤った経験があるといった声も

エアコンを使って暑さをしのいでいる人の中には、設定を誤った経験があるといった声も聞かれました。

80代の女性
「夫が冷房を『送風モード』にしたことが1回ありました。私が出かけていて帰ったら暑かったので気づきました。夫は割と暑さに鈍いので、家族が注意しています」

70代の男性
「間違えて『暖房』にしたことはあります。なかなか冷たくならなくて、すぐ気づきました。僕も年齢が年齢で持病もあるので注意しています」

20代の男性
「間違えて『暖房』にしたことなどはありません。身内や自分の周りでもあまり聞いたことはないですが、今後ミスしてしまうのが怖いので気をつけます」

メーカーは注意を呼びかけ

熱中症を防ぐためにはエアコンが有効ですが、設定を誤ると室温が下がらないとして、メーカーは注意を呼びかけています。

エアコンの主な機能に「冷房」と「暖房」がありますが、大手空調メーカーが扱っているエアコンの場合、30度の室温で28度に設定すると、「冷房」は28度になるよう冷気が出続けます。

一方、「暖房」はすでに28度を超えているため調節は行われず、風がほぼ出ない状態になりエアコンで室温を下げることは難しいということです。

このメーカーでは、リモコンの「冷房」や「暖房」のボタンを色分けしている機種もあり、そうした表示も活用して押し間違えに注意するよう呼びかけています。

そのうえで「冷房」と「暖房」のどちらにしたらいいか分からない場合は、エアコンが設定した温度になるように「冷房」と「暖房」を切り替えてくれる「自動運転」の機能を使うよう勧めています。

また、このメーカーが扱っているエアコンの機能に「送風」もありますが、室内の空気を循環させるだけで室温や湿度は調節しないため、多少涼しさを感じることはあっても室温を下げる効果はあまり期待できないとしています。

ダイキン工業広報グループの重政周之さん
「リモコンの使い方が難しいという方のために『自動運転』もあるので上手に活用してほしい。エアコンをあまり使わない方には、家族が声かけをして使用を促すことで熱中症のリスクを抑え夏を快適に乗り越えてほしい」

業界団体は、エアコンの機能や運転のしかたはメーカーなどによって異なる場合があり、よく確認したうえで利用してほしいとしています。

子どもたちに涼しい環境で遊べる体育館を開放するところも

猛暑が続く中、都内では、夏休み中の子どもたちに涼しい環境で遊べる体育館を開放しているところもあります。

東京・千代田区は、子どもたちが暑さをしのぎながら運動を楽しめるよう、区内に住む小学生を対象に、夏休みの間の午前9時から午前10時半まで2つの小学校の体育館を無料で開放しています。

このうち、九段小学校の体育館では小学生のグループや親子が訪れ、冷房の効いた室内でボール遊びを楽しんでいました。

小学3年生の男の子
「外で遊びたいけど、暑くてちょっと悲しいです。この体育館に入った時は涼しいなと思いました」

小学6年生の男の子
「最近は暑いので、外であまり遊んでいないです。涼しい体育館で遊べるのはいいと思います」

千代田区教育委員会子育て推進課の山※ザキ崇課長
「夏休みの間、暑い日が続きます。冷房の効いた環境で、思いきり体を動かして、遊んでもらいたいです」

※ザキはタツサキです。

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