ハンセン病の患者とされた男性が、隔離された「特別法廷」で死刑判決を受けた事件で、熊本地方裁判所は、男性の遺族が求めている再審=裁判のやり直しを認めるかどうか、来年1月末までに決定を出し、判断を示す方針を弁護団と検察の双方に示しました。

ハンセン病の患者とされた男性が殺人などの罪に問われたいわゆる「菊池事件」では、熊本県の療養所などに設置された「特別法廷」で裁判が行われ、男性は無実を訴えましたが死刑が言い渡され、1962年に執行されました。

男性を支援してきた元患者たちが国を訴えた裁判で、5年前に「特別法廷」を憲法違反だと判断した判決が確定し、その翌年、男性の遺族が再審=裁判のやり直しを申し立てました。

これまでの審理では
▽「特別法廷」での差別的な対応が憲法に違反することを理由に再審が認められるかどうかや
▽有罪の根拠とされた凶器や証言などの評価が争点になっています。

弁護団によりますと、7日開かれた3者協議で、熊本地方裁判所は、来年1月末までに再審を認めるかどうか決定を出し、判断を示す方針を弁護団と検察の双方に示したということです。

弁護団の共同代表の徳田靖之弁護士は会見で「『特別法廷』の違憲性と男性の無実を認める形で、再審を決定してほしいというのが率直な気持ちだ」と述べました。