国の来年度予算案の編成に向けた概算要求の方針案が明らかになり、物価高への対応といった重要政策について、今年度の予算額から20%の増額を認める方向です。一方、物価や人件費の上昇も踏まえ、これまで増額の条件としてきた経費の削減は求めない見込みです。

来年度・2026年度の予算案の編成に向けて各省庁は来月、財務省に対して概算要求を行う予定で、財務省は要求の方針案をまとめました。

それによりますと、政策によって費用が増減できる「裁量的経費」は、物価高への対応といった重要政策について、今年度予算に比べて20%増額することを認める方向です。

さらに、これらの政策は、金額を明示しない「事項要求」も可能にするとしています。

去年までの概算要求では、裁量的経費は10%の削減を求める代わりに、削減分の3倍にあたる規模の特別枠を設けてきましたが、今回は、物価や人件費の上昇も踏まえ、削減を条件から外す見込みです。

このほか、年金や医療などの社会保障費は、これまでと同様に高齢化による伸びを認めたうえで、予算編成過程で経済・物価動向などを踏まえた増加分を加算するとしています。

財務省は、この方針案の来月上旬の閣議了解に向けて調整を進めることにしています。

概算要求は4年連続で110兆円を超え、ここ2年間は過去最大を連続で更新していて、今回、一定の削減を要求の条件から外したことでさらに要求額が膨張することも予想されます。