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国内の自治体をアフリカの国の「ホームタウン」に認定する交流事業をめぐり、JICA=国際協力機構は、依然として誤った情報に基づく自治体への抗議などが相次ぎ、過度な負担が続いているとして、事業を撤回する方針を明らかにしました。

8月に横浜で開かれたTICAD=アフリカ開発会議にあわせて、JICAは国内の4つの自治体をアフリカの国の「ホームタウン」に認定し、交流事業を進めていましたが、SNSなどで「移民を定住させる制度だ」といった事実と異なる情報が広がりました。

これについて、JICAは25日夕方、記者会見を開き、外務省や自治体と検討を進めた結果、依然として誤った情報が広がっており、自治体に抗議の電話やメールが相次ぎ、過度な負担が続いているとして、事業を撤回する方針を明らかにしました。

すでに4つの自治体に説明し、いずれも撤回への理解は得られているとしています。

JICAの田中明彦理事長は「誤解を正すための措置は直ちに行ってきたつもりだが、自治体の日常業務にも影響が及んでいる状況に鑑み、名前も含めて撤回することにした」と説明しました。

一方で「混乱に屈したという意識は全くない。この事業は日本人と外国人とで協力して有益な活動を行うために構想したが、環境が整わない可能性を考えると撤回したほうが有益だ」と述べました。

JICAは、事業の内容を慎重に見直したうえで、交流への支援は続けていきたいとしています。

愛媛 今治市役所 抗議や問い合わせ 6000件近くに

愛媛県今治市はモザンビークと交流を行う「ホームタウン」に認定されていて、SNS上で事実と異なる情報が広がったあと市役所に抗議が相次ぎ、24日も職員が対応に追われていました。

市によりますと、抗議や問い合わせの電話やメールは、24日までの時点で6000件近くに上っているということです。

今月2日と10日には、市役所第1別館の女子トイレの個室の扉の内側に「移民反対」などといった文字が書かれているのが見つかり、市が警察に被害届を出していました。

JICAが交流事業を撤回する方向で調整を進めていることについて、市は「JICAからの正式な発表を受けてコメントをしたい」と話しています。

市民からも、さまざまな声が聞かれました。

70代の女性は「ホームタウンについては検討が必要だと思ったので撤回には賛成です。今治のよさを残しながら外国の人にも喜んでもらえるような場所になってほしいです」と話していました。

40代の女性は「いろいろな文化が入って交流が深まればいいと思うので誤った情報がきっかけで交流が絶たれるのは残念です。 情報を発信するときは一人一人が理解したうえで発信したほうがいいと思います」と話していました。

認定を受けた4市の市長が合同でコメント

ホームタウン構想の撤回について愛媛県今治市の担当者は、今治市など認定を受けた4市の市長の合同のコメントを読み上げました。

コメントでは「JICAが一貫して説明責任を負い対応していく旨の説明があった。今後とも、各市において市政のいっそうの発展に努めていくので、引き続きご理解とご協力をお願い申し上げる」としています。

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