戸籍上性別変更 変更後の外観要件は憲法違反で無効 札幌家裁
性同一性障害の人が戸籍上の性別を変更するには、変更後の性別に似た性器の外観を備えていることを法律が要件としていることについて、札幌家庭裁判所が憲法に違反し無効だとする判断を示していたことが分かりました。
性同一性障害の人の戸籍上の性別について定めた特例法では、生殖機能がないことや、変更後の性別に似た性器の外観を備えていることなど、複数の要件を満たした場合に限って性別の変更を認めていて、事実上、手術などが必要とされています。
このうち、生殖機能の要件については、最高裁判所がおととし体を傷つけられない権利を保障する憲法に違反するという判断を示していますが、札幌市の30代の当事者は、外観の要件についても憲法違反だなどとして、手術やホルモン療法をせずに戸籍上の性別を変更するよう申し立てました。
これについて札幌家庭裁判所は、9月19日、申し立てを認める決定を出したことが弁護士への取材で分かりました。
決定によりますと「特例法は、公衆浴場などで問題が起きることを考慮していると考えられるが、極めてまれで、外観を似せる手術などによって混乱を回避する必要性は現時点で相当低い」と指摘しています。
そのうえで「外観の要件は、制約として過剰で憲法に違反し無効だ」としています。
この要件をめぐっては、最高裁から審理のやり直しを命じられた広島高裁が、去年7月「憲法違反の疑いがある」としていましたが、今回の決定はさらに踏み込んだ判断となりました。