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厚生労働省と神戸市は、市内の医療機関を受診した20代の女性が、アフリカ中部を中心に流行している「クレードIb(ワン・ビー)」というタイプの「エムポックス」、これまでの「サル痘」に感染していたことが確認されたと発表しました。このタイプのウイルスが国内で確認されるのは初めてです。

厚生労働省などの発表によりますと、エムポックスに感染しているのが確認されたのは、発疹や発熱などの症状を訴えて9月12日に市内の医療機関を受診した20代の女性です。

ウイルスの遺伝子検査を行ったところ、感染していたのは、おととしからアフリカ中部を中心に流行しているクレードIbというタイプのウイルスだと確認されました。

このタイプのウイルスが国内で見つかるのは初めてです。

女性にはアフリカへの渡航歴があることから、市はアフリカで感染したと推定されるとしています。

また、女性の状態は安定しているということです。

エムポックスは感染した人や動物の体液や血液に接触することなどで感染するとされていますが、神戸市は今回のケースから感染の広がりが懸念される状況は確認されていないとしています。

エムポックスの「クレードIb」とは

今回見つかった「クレードIb」のウイルスはおととしからコンゴ民主共和国を中心に流行していて、3年前、アメリカやヨーロッパを中心に世界的に流行した「クレードIIb(ツー・ビー)」とは異なるタイプです。

アメリカCDC=疾病対策センターによりますと、この流行でコンゴ民主共和国では去年以降少なくとも4万人以上の感染が確認され、100人以上が死亡したと報告されています。

国立健康危機管理研究機構によりますと、クレードIbの致死率は当初、クレードIIbより高い可能性が指摘されていましたが、現在は適切な治療により1%以下になるとされていて、アフリカ以外の地域で見つかったクレードIbの患者では死亡例は報告されていないということです。

いずれのタイプのウイルスも、主な感染経路は性的接触ですが、家庭内での濃厚接触で感染したケースもあると報告されています。

潜伏期間は1週間から2週間ほどで、発症すると発熱や頭痛、筋肉痛などの症状のあと、全身や性器周辺の発疹が現れます。

適切な治療を受ければ2週間から4週間程度で回復するということですが、免疫不全があると重症化するリスクが高いということです。

海外の研究ではエムポックスの予防に天然痘ワクチンが有効だと報告されていて、ウイルスに接触したあと、4日以内の接種で感染予防の効果が、2週間以内の接種で重症化を予防する効果があるとされています。

国内ではウイルスに接触し、感染した可能性がある人に国産のワクチンを接種する体制が整備されています。

厚生労働省 “過度におそれず基本的な感染対策を”

「エムポックス」をめぐっては、2023年の秋以降、より重症化しやすいとされた新たなタイプのウイルスがアフリカ中部で大規模に流行したことから、WHOは去年、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言しました。

ただ、その後、感染が広がった地域でワクチンの接種が進められるなど感染拡大の防止に向けた取り組みが進められ、感染者や死者は持続的に減少。

こうした状況を受けてWHOはもはや国際的健康危機に該当しないと判断し、今月5日、緊急事態の終了を宣言しました。

国内のエムポックスの患者は今月12日時点で死亡例1例を含む254例が確認されていて、今回、国内で初めて確認された「クレードIb」のウイルスによる感染で255例となりました。

厚生労働省は「今回、グループが違うウイルスによる感染が報告されたが、エムポックスについては全国的に検査や治療、ワクチンの接種など必要な医療体制が確保されているので、過度にエムポックスをおそれたり、患者に偏見や差別を持つことがないよう適切に対応してほしい。発熱や発疹など体調に異常がある場合には身近な医療機関に相談し、基本的な感染対策を行ってほしい」としています。

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