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来年春に就職を希望する高校生の採用試験が、16日から全国一斉に始まりました。ことしも人手不足などを背景に、生徒が就職しやすい「売手市場」となっています。

このうち、埼玉県川口市にある従業員およそ70人のリサイクル機械メーカーでも採用試験が行われ、地元の男子高校生が面接に臨みました。

高校生は緊張した面持ちでしたが、学校で溶接を学んでいることや、部活動にも励んできたことをアピールしていました。

厚生労働省によりますと、来年春に就職を希望する全国の高校生は、ことし7月末の時点で12万6474人なのに対し、企業からの求人数は46万6921人で、求人倍率は3.69倍となっています。

これは去年とほぼ同じ水準で、引き続き、企業からの求人数が就職を希望する高校生の数を大きく上回る「売手市場」となっています。

特に製造業の求人数は14万6000人余りと、全体の3割以上を占めていて、ここ数年は、大企業の求人も増え、中小企業の人材確保は厳しさを増しています。

16日採用試験を行った川口市の機械メーカーでは、ことしから高卒採用の担当者を新たに設けるなどして人材の獲得に力を入れていますが、4人の募集に対し、応募者は今のところ、1人となっています。

「日本シーム」の採用担当、藤田玲未さんは「今後も多くの生徒に会社の魅力を知ってもらえるよう、インターネットも活用しながら情報を発信していきたい」と話していました。

【QA】高校生の就活「1人1社制」とは

高校生の就活は、「1人1社制」など、大学生とは異なるルールやスケジュールで進められます。

できるだけ短期間に就職先を決め、学業への影響を抑えることなどがねらいですが、売り手市場が続く中、見直しを求める声も上がっています。

国や専門家などへの取材を通じて労働担当の大野敬太記者がお伝えします。

Q.どんなスケジュールで進められるの?

A.まず7月1日に各学校に企業からの求人票が届きます。

生徒はこの求人票に目を通した上で、夏休みに職場見学を行うなどして希望の企業を選んでいきます。

そして、沖縄県は8月30日、それ以外の都道府県は9月5日から応募用紙を企業側に提出でき、9月16日から採用試験が始まります。

Q.高校生特有の就活ルールとは?

A.特に大きいのは「1人1社制」と呼ばれるルールです。

これは都道府県や学校、それに産業界などの申し合わせで、原則一定期間、1人の生徒が応募できる企業は1社だけとするもので、41の都道府県で実施されています(令和7年6月現在)。

一方、最初から複数の企業に応募可能なのは、秋田県、茨城県、埼玉県、大阪府、和歌山県、それに沖縄県です。

この1人1社制のねらいは、競合をできるかぎり抑えて短期間で内定を得やすくし、生徒の負担や学業への影響を抑えるためなどとされています。

例えば、複数の企業へ応募すると、企業の研究や応募用紙の作成に時間を要す可能性がある上、仮に求人が少ない状況に陥った場合でも、多くの生徒に比較的公平に応募の機会が与えられるとされています。

一方で、現行のルールは
▽高校生の主体性を過度に制限している
あるいは▽新たに高校生の採用に乗り出そうとする企業が参入しにくいなどという指摘もあります。

特に最近は、企業からの求人が増え売り手市場となっているため、「1人1社制」を行う地域でも、その期間を短縮する動きが広がってきています。

現在では、1人1社とする期間を「9月末まで」とするところが多く、長い所でも「10月末まで」となっています。

高校生には自分にあった企業を十分に検討して就職先を選んでほしい

そのマッチングでいうと、1つ気がかりなデータがあります。

令和5年3月に高校を卒業して就職した人のうち、1年以内に離職した割合は17.4%と、大卒の10.9%と比べて6.5ポイント高くなっています。

高校生が企業についての十分な情報をえないまま就職してミスマッチが起きているという指摘も出ています。

こうした声を受けて、高校生の就職先の選択の幅を広げようという検討も始まっています。

ことし5月の国の規制改革推進会議の答申では、
▽求人票の公開時期を例えば1~2か月前倒しすることや
▽高卒向けの求人情報をWEB上で広く一般に公開することなどを検討するよう求めました。

売り手市場が続く今こそ、高校生がより多くの企業を知り、自分にあった就職先を十分に検討できる仕組みを、それぞれの地域で考えていく必要があります。

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