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ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる9月5日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、およびロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ロシア ウクライナに軍事侵攻(9月4日の動き)

ウクライナ情勢 戦況の解説記事はこちら

“ロシア軍 ドネツク州中心に秋の攻勢開始か” 米シンクタンク

ウクライナ情勢をめぐって、アメリカのシンクタンク、戦争研究所は9月1日、ロシア軍が、北東部のスムイ州や南部のヘルソン州で活動していた部隊を東部のドネツク州に再配置したという分析を示しました。

その上で、この再配置について、ロシア軍がドネツク州の要衝ポクロウシクなどの掌握に注力することを示唆しているとして、ドネツク州を中心とした秋の攻勢が始まるという見通しを示しました。

ウクライナの参謀本部も8月、ポクロウシク方面だけでも11万を超えるロシア軍が展開しているという見方を示していて、ロシア軍は、ドネツク州のうちまだ占領していない地域の掌握に向けて攻勢を強めるとみられます。

一方、ウクライナは、ドネツク州の北部のスロビャンシクからコスチャンチニウカまでのおよそ50キロの区間に「要塞ベルト」と呼ばれる防衛線を築いていて、ロシア軍とウクライナ軍の攻防が一層激しくなるとみられます。

ウクライナの安全の保証議論の会合“26か国が停戦後に関与”

ウクライナの安全の保証を議論する有志連合の首脳会合が、9月4日にパリでオンラインも交えて開かれ、ヨーロッパ各国の首脳のほか、ウクライナのゼレンスキー大統領、アメリカのウィトコフ特使など、30か国以上が参加しました。

会合では、ウクライナが求めるロシアとの停戦実現後の安全の保証が議論され、フランスのマクロン大統領は「26か国がウクライナに部隊を派遣したり、地上や海、空に展開したりして安全の確保に関与することを約束した」と述べました。

ただ、派遣先は前線ではなく、現在検討中だとするとともに、どの国が関与するかなど詳細は明らかにしませんでした。

また、安全の保証へのアメリカの関わり方については「数日中に最終決定される」と述べるにとどめました。

トランプ大統領 “ロシアから原油輸入やめ 中国に経済的圧力を”

有志連合の首脳会合に続いて、アメリカのトランプ大統領も加わる形で電話会談が行われました。

ホワイトハウスの当局者によりますと、この場でトランプ大統領はヨーロッパに対し、ロシアの戦争の資金源となっている原油の購入をやめなければならないと主張しました。

そして、ロシアから原油などを輸入する中国に言及し、中国がロシアの戦争のための資金を提供しているとして、ヨーロッパの首脳らに経済的な圧力をかけるよう求めたということです。

トランプ大統領は8月、ロシアのプーチン大統領と会談し、ウクライナとロシアの首脳会談の実現に意欲を示しましたが、進展が見られないことにいらだちをあらわにし、9月3日には「ロシアのプーチン大統領に言うことはない。今後の彼の決断が不愉快なものであれば、何かが起きるだろう」と述べています。

トランプ大統領としては、ロシアとの関係を深める中国に言及することで、ロシアをけん制するねらいもあるとみられます。

これについて、中国外務省の郭嘉昆報道官は、5日の記者会見で「中国はウクライナ危機の問題では、一貫して公正で客観的な立場だ。中国がこの危機をつくり出したのではないし、当事者でもない」と述べました。

そのうえで「中国に経済的な圧力を加えることには断固反対する」と述べ、反論しました。

また、フランスのマクロン大統領は、首脳会合のあと、トランプ大統領との電話会談も行われたとした上で、ロシアや、ロシアの経済を支援する中国などへの、さらなる制裁を検討することで一致したとしています。

これについてウクライナのゼレンスキー大統領は「経済的な圧力でロシアに戦争をやめさせ、軍事力のための資金や資源を奪う必要がある」などと強調しました。

一方、ロシアはウクライナへの安全の保証についてロシアの立場を尊重するよう求めており、ヨーロッパ側との隔たりはさらに広がりそうです。

プーチン大統領 “26か国の停戦後の約束”を批判

ロシアのプーチン大統領は9月5日、極東のウラジオストクで開かれている国際会議「東方経済フォーラム」のイベントに参加しました。

この中でプーチン大統領は、ヨーロッパ各国など26か国が、4日、停戦実現後のウクライナへの安全の保証として部隊の派遣などへの関与を約束したことについて「長期的な平和につながる決定がなされた場合には何の意味もない。こうした決定がなされれば、ロシアは間違いなく完全に履行するからだ」と述べ、批判しました。

その上で「ロシアとウクライナの双方のために考案された安全の保証ならば、われわれは尊重する」と述べ、ロシアの安全が犠牲になってはならないと強調しました。

さらに「戦闘が行われている状況で部隊が派遣されれば、合法的な攻撃目標と見なす」と述べ、停戦の実現前に部隊が派遣された場合は攻撃対象にするとして、けん制しました。

一方、実現するかどうかが焦点となっている、ロシアとウクライナの首脳会談をめぐっては「本当に会談したいのなら、最適な場所はロシアの首都モスクワだ」と主張しました。

ゼレンスキー大統領の側近 “前線の凍結は可能性あるシナリオ”

ウクライナのゼレンスキー大統領の側近の1人で大統領府顧問のポドリャク氏は、9月4日、首都キーウでNHKのインタビューに応じました。

このなかでポドリャク氏は「ゼレンスキー大統領は現実的でなければならないと強調している。今すぐに軍事力によってすべての領土を解放するのは不可能だと理解している」と述べました。

そして「前線の凍結は可能性のあるシナリオの1つだ。いま話し合うべき唯一のことは、戦争の激しい段階を終わらせる可能性についてだ。そして交渉に進むのだ」と述べ、現在の前線でいったん戦闘を停止した上で領土をめぐる問題について話し合うなど、現実的に対応する用意があると明らかにしました。

その一方で「ゼレンスキー大統領はいかなる領土もロシア領として認めないと強調している。これは国際法で禁じられていることだ。ロシア軍が占領していない地域から撤退する者など誰もいない。領土で譲歩することはない」として、領土の割譲には応じないという姿勢を改めて強調しました。

また、ロシアとの停戦実現後のウクライナへの安全の保証については、部隊の派遣に加え「ロシアが再び侵略を開始しようとした場合、制裁を即時に適用するための法的に定められたメカニズムをつくるべきだ」と述べ、ロシアへの抑止力を強めるさらなる措置が必要だという考えを示しました。

領土をめぐる問題とウクライナの安全の保証は、停戦の実現に向けた大きな焦点となっており、ウクライナと自国の立場を尊重するよう求めるロシアとの隔たりは依然大きいままとなっています。

ウクライナ情勢 ロシアによる軍事侵攻 最新情報・解説 – NHK特設サイト

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