
コメの取り引き関係者に調査した向こう3か月のコメ価格の見通しを示す8月の指数は、調査を始めて以降、最も大きく上がりました。農協が生産者に仮払いする「概算金」を引き上げる動きが相次いでいることが背景にあり、新米価格が上がるという見方が広がっています。
「米穀安定供給確保支援機構」は全国180の生産者や卸売業者などを対象にコメの価格や需給の見方などを毎月調査し、指数が大きいほど「高い」という見方が強いことを示します。
きょう発表された先月の結果によりますと、価格の現状を示す指数は85と前回・7月の調査から8ポイント上昇しました。
さらに向こう3か月の価格の見通しを示す指数は69と23ポイント上昇しました。
23ポイントという見通しの上げ幅は、2012年にこの調査が始まって以降、最も大きくなりました。
調査した団体は、新米を確保するため、農協が生産者に仮払いする「概算金」を引き上げる動きが全国的に相次いでいるほか、猛暑や渇水による新米への影響を懸念する声も出ていることが背景にあるとみています。
今回の結果はコメの流通関係者の間で新米価格が上がるという見方が広がっていることを示しています。
神奈川 平塚では記録的な暑さでイネの生育に影響

神奈川県で最もコメの生産が盛んな平塚市では、この夏の記録的な暑さの影響で収穫を間近に控えたイネの生育に影響が出ていて、農家からは収穫量の減少や品質の低下を心配する声が上がっています。
平塚市はコメの年間の収穫量が県内トップで、地元湘南生まれのブランド米「はるみ」の収穫がまもなく始まりますが、地元のJAによりますと、この夏の記録的な暑さによってイネの生育に影響が出ているということです。
このうち地元の農家の佐藤光夫さんらが管理している田んぼでは、一部のイネが十分に生育せず、もみの中の粒が小さかったり白く濁ったりしているものや、もみの中身が空になってしまっているものもあります。

こうした影響が出ている稲穂は本来の黄金色ではなく、変色して白っぽくなっています。
順調な生育のためには、この時期、なるべく冷たい水を田んぼにはることが必要ですが、この夏は田んぼの水温が40度まで上がってしまう日も相次ぎ、打つ手がなかったということです。
「はるみ」は神奈川県のコメとして初めて「特A」の最高評価を受けた品種ですが、佐藤さんは自身が管理する田んぼではことしは例年よりも収穫量が10%程度減るとみているほか、品質の低下への心配も募っています。
佐藤さんは「品質が落ちると価格も安くなり、収入面に影響するので心配です。『はるみ』と同じぐらいのおいしさで、暑さに強い品種が出てきてほしい」と話していました。