長崎に原爆が投下されてから80年となる9日、都内では被爆2世の落語家が原爆投下がテーマの落語を披露し、被爆の悲惨さと核兵器廃絶の必要性について訴えました。
落語を披露したのは長崎出身で母親が長崎で被爆した被爆2世の落語家、古今亭菊太楼さんで、9日、東京 江戸川区で地元の被爆者団体の展示会で演じました。
長崎への原爆投下がテーマの新作落語「母のお守り」は、原爆で母親を亡くした被爆者の男性が病院で出会った男の子に導かれて原爆投下直前の長崎で母親との再会を果たし、その後、現代に戻った男性が男の子は自分の主治医の父親だったと知るという内容です。
主治医は男性が男の子に渡した母親の形見のお守りを持っていて、落語の最後は核兵器が落とされない世界の実現を誓う主治医に対し、男性が「そのお守りは絶対に落ちないですから」と返すオチで締めくくられています。
落語を聞いた女性は、「映像や文章ではなく音声で聞くからこそ、原爆投下の様子をイメージしてその時のつらさをこれまでとは違う形で感じることができました」と話しました。
公演のあと菊太楼さんは、「初めての試みでしたが手応えとやりがいがありました。被爆の経験を次の世代が引き継いでいくことが必要となるなかで、落語が原爆について知るきっかけのひとつになればいいです」と話しました。