夏の全国高校野球、大会12日目の第3試合は、兵庫の東洋大姫路高校が福岡の西日本短大付属高校に3対2で競り勝ちベスト8に進みました。
東洋大姫路は、1点を追う5回に2本のヒットと送りバントで一塁三塁のチャンスをつくると、3番の高畑知季選手と4番の白鳥翔哉真選手の連続タイムリーで2点を奪い、3対2と逆転に成功しました。
投げては、3回途中から登板したエースの木下鷹大投手が力のあるストレートとキレのある変化球で相手打線から8つの三振を奪う力投で、1点のリードを守りました。
東洋大姫路は3対2で西日本短大付属に競り勝ち、ベスト8進出を決めました。
西日本短大付属は、東洋大姫路を上回る10本のヒットを打ちましたが、2点を奪った3回以降はチャンスの場面であと1本が出ず、5回途中からマウンドにあがったエースの中野琉碧投手を援護できませんでした。
《東洋大姫路》
木下鷹大投手「粘り強いピッチングを続けていきたい」

3回途中から登板し9回まで8つの三振を奪い勝利を引き寄せるピッチングをした東洋大姫路高校のエース、木下鷹大投手は「ストレートの精度がよかったです。丁寧にコースをついて粘り強いピッチングができてよかったです」と話していました。
また、打線が逆転した5回のウラに三者連続三振を奪ったことについて「チャンスのあとはピンチが来ると思ったので絶対に流れを渡さない気持ちで全力で投げきりました」と淡々と話していました。
次の試合に向けては「今後も粘り強いピッチングを続けていきたいです。ここまで来たら気持ちが強いチームが勝つと思うので気持ちで負けないように投げていきたいです」と話していました。
白鳥翔哉真選手「援護しなければと思い 集中力が高まった」

5回にセンター前に勝ち越しのタイムリーヒットを打った東洋大姫路高校の白鳥翔哉真選手は「ピッチャーが頑張っていたのでバッター陣が援護しなければと思って、集中力が高まりました。抜けてくれて、ほっとしました。次の試合も、センター中心のバッティングでチームに貢献したいです」と話していました。
岡田龍生監督「バッテリー中心につかんだ勝利」

東洋大姫路高校の岡田龍生監督は、3回途中から登板し、8つの三振を奪う好投を見せた木下鷹大投手について「接戦の中どうにか木下に抑えてほしい試合だった。木下は投げよう、抑えようという気持ちが少し強すぎたが、バッテリー中心につかんだ勝利だと思う」と話していました。
また、5回に勝ち越しのタイムリーを打った白鳥翔哉真選手について「県大会から本当によく打ってくれていて、クリーンアップがなんとかしてくれるという感じがある」と信頼を口にしました。
そして次の試合については「ベスト8まで勝ち上がれるとは思っていなかったので、選手たちも楽しんで戦っていると思う。あしたしっかり休んであさって全力でぶつかれるよう準備したい」とうれしそうな表情で話していました。
東洋大姫路 木下鷹大投手 同級生への思い胸に気迫の投球
東洋大姫路高校のエース、木下鷹大投手は3回途中から登板し気持ちのこもったピッチングで、8つの三振を奪い勝利に貢献しました。
重圧のかかるマウンドで、1点のリードを守りきり、ピンチの場面も気迫の投球で得点を与えなかった木下投手。
その裏には、少ない出場のチャンスで懸命にチームのためにプレーした同級生たちへの思いがありました。
ベスト8のかかった17日の試合、先発のマウンドに上がったのは、この夏の地方大会で初めてメンバー入りを果たし甲子園では初登板となった3年生の森皐葵投手でした。
ベンチ入りしている6人のピッチャー全員でこの甲子園を戦い抜くと決めていたエースの木下投手は、森投手の起用がうれしかったと言います。
プレッシャーのかかるマウンドを任された森投手は持ち味の変化球を低めに集め、強打の西日本短大付属高校を相手に一歩もひくことなく、堂々のピッチングを見せ、2回を無失点におさえました。
3回に入り相手打線につかまって2人のランナーを背負うピンチをつくると、ここでエースの木下投手に交代しました。
木下投手は「初登板で緊張する中、粘ってくれてうれしかったし本当に助かった。森投手は責任感のある選手なので、自分がなんとか抑えようと思った」とマウンドを引き継ぎ、1点こそ失いましたが、最少失点でこのピンチを切り抜けました。
その直後の4回の攻撃の先頭打者は、この夏、堅い守備とシュアなバッティングでセンターのレギュラーを任された2番、3年生の木本琉惺選手でした。
チームはここまで相手ピッチャーにノーヒットに抑えられ、先制された直後の大事な攻撃で木本選手はコンパクトに振り抜いてライト前へヒット。
この出塁を皮切りに1点を返すと、流れに乗った味方打線は5回にも3番と4番の連続タイムリーで一気に勝ち越しました。
木下投手は「この夏、メンバーに入った森投手と木本選手の活躍で、チームが勢いづいた。この流れを渡してはいけない」とさらにギアをあげ、勝ち越した5回のウラでは140キロを超えるストレートを強気に次々と投げ込み、三者連続三振に抑えました。
その後も得点圏にランナーを背負っても全員で勝ち越した貴重な1点を守るため、木下投手は思いっきり腕を振り、ベスト8を決めました。
「3年生みんなの意地でここまで勝ってきた。このあとも1戦必勝でやっていきます」とまっすぐに前を見て話した木下投手。
同じ3年生として切磋琢磨(せっさたくま)してきた仲間とともにさらなる高みを目指します。
《西日本短大付》
中野琉碧投手「もっと勝てるピッチャーになりたい」
西日本短大付属高校のエースで5回途中から登板し9回までを投げきった中野琉碧投手は「相手は打撃のいいチームだと思っていたので、低めを中心にした投球を意識していました。コントロールを重視した自分らしい投球ができましたが、逆転されてしまったので、悔しいです」と試合を振り返りました。
そのうえで、「負けていてもみんな明るく楽しいチームだったので、最後の試合となってしまい残念ですが、この仲間と甲子園でプレーできて本当によかったです。きょうの経験をもとに、これからも野球を続けてもっと勝てるピッチャーになりたいです」と話していました。
佐藤仁選手「親に感謝の気持ちを伝えたい」

西日本短大付属高校の4番の佐藤仁選手は、3回に先制のタイムリーヒットを打った打席について「追い込まれていたのでストレートはないと思い変化球を狙って、しっかりと打つことができました。4番の意地を見せることができたと思います」と笑顔で振り返っていました。
そのうえで、「僕らのチームは全員がいいバッターなので、その中で最後まで4番を任せてもらい本当にうれしい気持ちでいっぱいですし、ここまで支えてくれた親に感謝の気持ちを伝えたいです」と話していました。
西村慎太郎監督「選手たちの頑張りでここまで来れて感謝」

西日本短大付属高校の西村慎太郎監督は、「東洋大姫路は強いチームなので見えないところでプレッシャーを感じた。チャンスを作れても木下投手の好投でなかなか点が取れなかったことが勝負の分かれ目だ」と試合を振り返りました。
そのうえで、「最後まで接戦のすばらしい試合だったが、選手に勝たせてやれなかったのが残念だ。選手たちの頑張りでここまで来ることができたので感謝している」と話していました。