
大リーグ、ドジャースの大谷翔平選手が27日のレッズ戦に投打の二刀流で出場して5回1失点と好投し、2回目の右ひじの手術から復帰後初めて勝ち投手になりました。
ことし6月に投打の二刀流として復帰した大谷選手が勝ち投手となるのはエンジェルス時代のおととし8月9日以来749日ぶりで、ドジャース移籍後初めてです。
大谷選手は3回にソロホームランを打たれましたが、レッズ打線をヒット2本に抑え、復帰後最多の9つの三振を奪いました。球数も復帰後最多の87球でした。
今季11試合目の登板で初勝利 道のりは
2シーズンぶりに投打の二刀流で復帰をとげた今シーズン、大谷選手は11試合目のマウンドで初勝利をあげました。ここまでの歩みを振り返ります。
シーズン当初、大谷選手は実戦形式の投球練習で5イニング以上を投げられる状態になってからピッチャーとして復帰する予定で、7月のオールスターゲーム後になるとみられていました。
しかし、指名打者として出場を続けながら試合前に実戦形式の投球練習を行うことは、コーチが「週に何度もダブルヘッダーに出場するようなもの」と表現するほど体への負担が大きく、大谷選手がみずからその状況を首脳陣に伝えたことでプランは大きく変わります。
大谷選手が提案した新たなプランは、練習の代わりに先発で短いイニングを投げる“オープナー”としていち早く復帰し、実戦の中で徐々にイニング数を増やして状態を上げるというもので、首脳陣との話し合いを重ねたうえでこの異例のプランが採用されました。
その結果、予定より1か月以上早い6月16日に2シーズンぶりとなる二刀流復帰を果たし、わずか1イニング、28球の登板でしたが、160キロを超える速球を連発してマウンドでも圧倒的な存在であることを改めて証明しました。
その後は徐々にイニング数と球数を増やし、前の登板まで10試合でストレートの平均球速は158キロとおととしに比べて2キロ以上も上昇。
縦に曲がるスライダーなどの新たな決め球も披露するなど、2回目の右ひじ手術の影響を感じさせないどころかさらに進化した姿でマウンドに帰ってきたのです。
しかし、ここ最近はイニング数が増えると決め球が甘く入るなどコントロールに苦しみ、今月13日の古巣・エンジェルス戦で5回途中4失点、今月20日のロッキーズ戦では4回でヒット9本を打たれて5失点を喫し、負け投手にもなりました。
大谷選手は、前回登板のあと、「コーナーをねらっているボールが真ん中寄りに集まっている」と課題を口にしていましたが、中6日で臨んだこの試合はカーブを中心に組み立てる大胆な配球で相手打線に的を絞らせず、2023年8月9日以来749日ぶりの勝ち投手となりました。
首振り人形配布 移籍後初の勝ち投手期待の声も

27日の試合では昨シーズン、大谷選手が記録したホームラン54本、57盗塁、いわゆる「50ー50」を記念した大谷選手の「ボブルヘッド」と呼ばれる首振り人形が球場を訪れたファンに配られました。
人形は大谷選手がホームランを打ったあとのフォロースルーがイメージされ、土台には昨シーズンのホームラン数「54」の文字が入れられています。
大谷選手は今シーズン初めて自身のボブルヘッドが配られた4月2日の試合ではサヨナラのソロホームランを打ったほか、2回目となった5月15日の試合ではホームラン2本で6打点と活躍しています。
この日は今シーズン3回目の配布となり、試合前のファンからはドジャース移籍後、初の勝ち投手を期待する声が聞かれました。
男性ファンは「彼はボブルヘッドデーでいつもいいプレーをしていて、4月に見に来たときもホームランを打ってくれた。わくわくしているし、勝ち投手になれると信じている」と話していました。
また、この試合のために日本から訪れたという男性は「ボブルヘッドをとても楽しみにしていました。5回無失点でホームランも2本打ってほしいです」と楽しみにしている様子でした。