静岡 焼津 いじめを受け女子生徒が自殺 両親が市を提訴へ 2025年9月26日 0時16分 教育 3年前、静岡県焼津市の公立中学校に通っていた14歳の女子生徒が自殺し、専門家による調査の結果、ほかの生徒から悪口や陰口などのいじめを受けていたと認定されたことがわかりました。両親は「教諭はいじめを認識できたのに対応を取らなかった」として、近く、市に対して損害賠償を求める訴えを起こすことにしています。 遺族や弁護士によりますと、2022年9月、焼津市の公立中学校に通っていた3年生で14歳の女子生徒が学校から帰宅後にみずから命を絶ちました。 女子生徒は、この年の4月に転校してきたばかりでした。 市の教育委員会が設置した専門家による調査委員会が調査した結果▽「きもい」や「くさい」などの悪口や陰口のほか▽発表会のために描いた絵が破かれた状態で見つかるなどいじめを受けていたと認定したということです。 調査報告書などによりますと、女子生徒は亡くなる2か月前に行われた道徳の授業で、プリントに「本当の自分は出さない。またいじめにあうかもしれないから」などと書いて提出していましたが、教諭は声かけや確認を行わなかったということです。 両親は「教諭はいじめを認識できたのに対応を取らなかった」と主張して、近く市に対し7000万円余りの損害賠償を求める訴えを静岡地方裁判所に起こすことにしています。 焼津市教育委員会は「尊い命が失われたことに対し哀悼の意を表するとともに、ご遺族の皆様に心よりお悔やみ申し上げます」としたうえで、訴えについては「内容がわからないのでお答えできない」としています。 報告書「学校側の対応が影響」 焼津市の教育委員会が設置した専門家による調査委員会は、おととし6月に報告書をまとめています。 報告書では、生徒へのアンケートや聞き取り調査の結果▽「きもい」や「くさい」などの悪口や陰口のほか▽冷やかしやからかい▽発表会のために描いた絵が破かれた状態で見つかったことについて、女子生徒へのいじめと認定しています。 また、報告書や遺族の弁護士によりますと、女子生徒は亡くなる2か月前に行われた道徳の授業で、プリントに「本当の自分は出さない。またいじめにあうかもしれないから」とか「1人の時は本当に暗い」、「いつもぐちゃぐちゃな心境」などと書いて提出しましたが、教諭は声かけや確認を行わなかったということです。 これについて報告書では「教諭は内容について気にはなったものの、中学生なら誰しも抱く感情、すでに問題は解決済みと判断した」としたうえで、「いじめの重要な情報として扱うべきものだった。女子生徒の発したサインを受け止められなかったことは、計画的に研修を行っていなかった学校の組織態勢の不備によるものだ」と指摘しています。 そのうえで、女子生徒の自殺について「唯一の原因を特定することは困難だが、いじめと認定した行為や学校側の対応が影響を与えたことは否定できない」としています。…