虐待で死亡した子どもは、親などによる心中を除くと令和5年度、全国で48人にのぼり、このうち3割余りは生後すぐに遺棄されていたことがわかりました。国は、妊娠にとまどう女性などへの妊娠期から出産後までの切れ目のない支援体制の整備を進めることにしています。

こども家庭庁が公表した令和5年度の事例検証によりますと、虐待を受けて死亡した子どもは親などによる心中以外では全国で48人で、前の年度より8人減りました。

年齢別でみると、
▽0歳が33人
▽1歳、3歳、それに4歳がそれぞれ3人
▽2歳と5歳がそれぞれ2人
▽6歳と9歳がそれぞれ1人となっていて
0歳で死亡した割合は全体の68.8%と、事例検証の公表が始まった平成17年以降、最も高くなりました。

生後1か月未満の新生児は18人にのぼり、このうち15人は生後すぐに遺棄されて死亡していました。

こども家庭庁によりますと、予期せぬ妊娠などで孤立した状況で出産し、周囲に相談できないまま、遺棄につながったケースが多かったということです。

こども家庭庁は、今年度中に各地にある相談窓口の一覧サイトを設けるほか、妊娠にとまどう女性などへの妊娠期から出産後までの切れ目のない支援体制の整備を進めることにしています。

検証委員会の委員長を務めた明星大学の川松亮教授は「支援が必要な方は、相談をためらってしまうかもしれないが、安心して頼ってほしい。関係機関は相談が寄せられたら思いを丁寧に聞くことを意識してほしい」と話しています。