おととし、豪華客船タイタニック号の残骸を見るツアー中に潜水艇が水圧でつぶれて乗っていた5人が死亡した事故について、アメリカ沿岸警備隊の調査委員会は、潜水艇の構造的欠陥や安全を軽視する運営会社の企業風土が事故の原因だと指摘する最終報告書をまとめました。

おととし6月、大西洋沖で氷山に衝突して沈没した豪華客船タイタニック号の残骸を海底まで見に行くツアー中に、潜水艇「タイタン」が水圧でつぶれて乗っていた5人が死亡しました。

事故の原因究明にあたってきたアメリカの沿岸警備隊の調査委員会は5日、300ページ余りにわたる最終報告書を公表しました。

この中では、事故を起こした潜水艇について、炭素繊維でできた船体に硬さや厚みなどの構造的な欠陥があったうえに、事故以前のトラブルで船体に異変が生じていたのに、詳細な検査をせず、使い続けていたと指摘しました。

また、観光目的のツアーにもかかわらず、安全規制を回避するため、乗客を専門調査員と偽って報告したり、安全上の課題を指摘しようとした従業員らを解雇したりするなど、安全を軽視する運営会社の企業風土に問題があったとしています。

そのうえで、関係当局が連携してより早く介入していれば、事故は防げた可能性があると結論づけました。