39年前、福井市で女子中学生が殺害された事件の再審=やり直しの裁判で、7月、前川彰司さん(60)に無罪が言い渡された判決について、弁護団によりますと、検察が1日、上告しない手続きを取ったと裁判所から連絡があったということです。事件の発生から40年近くがたって、前川さんの無罪が確定しました。
1986年に福井市で中学3年の女子生徒が殺害された事件で、有罪が確定して服役した前川彰司さん(60)は一貫して無実を訴えて裁判のやり直しを求め、去年10月、再審が開かれることになりました。
そして、7月18日、再審の判決で名古屋高等裁判所金沢支部は当時、有罪の決め手とされた知人らの目撃証言について「捜査に行き詰まった捜査機関が誘導などの不当な働きかけを行い、関係者がそれに迎合した証言をした結果、形成された疑いが払拭(ふっしょく)できず、いずれも信用できない」などとして前川さんに無罪を言い渡しました。
弁護団によりますと、この判決について、検察が1日、上告しない手続きを取ったと裁判所から連絡があったということです。
検察は今後、上告しなかった理由などについて明らかにするものとみられます。
この事件では、もとの裁判で1審が無罪、2審が有罪と判断が変わり、14年前の2011年には再審を認める決定が出されましたが、検察の異議申し立てを受けて取り消されました。
前川さんは司法の判断に翻弄されてきましたが、事件の発生から40年近くがたって、無罪が確定しました。