夏の全国高校野球、大会10日目の第3試合は大分の明豊高校が佐賀北高校に6対1で勝って3回戦に進みました。
明豊は0対0の5回に2本のヒットとフォアボールで1アウト満塁のチャンスを作り、8番・辻田拓未選手の走者一掃となるセンターオーバーのタイムリーツーベースヒットで3点を先制しました。
そのウラに2人目の大堀羚斗投手が2アウト一塁三塁の場面でタイムリーヒットを許して1点を返されました。
試合は5回を終えて明豊が3対1とリードした中で雨のため中断しました。
およそ1時間後に再開すると、明豊は6回に1点を追加し8回には4番・加納悠成選手の2点タイムリーヒットで佐賀北を突き放しました。
そして、6回途中から3人目として登板したエース・寺本悠真投手が9回まで無失点に抑えて、明豊が6対1で佐賀北に勝って3回戦に進みました。
佐賀北は4回までノーヒットのピッチングを見せたエースの稲富理人投手が中盤以降粘りきれず、打線も毎回のようにランナーを出しながらもチャンスであと1本が出ませんでした。
《明豊》
辻田拓未選手「打った瞬間は気持ちが高ぶった」
明豊高校の辻田拓未選手は、5回に走者一掃の先制タイムリーツーベースヒットを打った場面について、「アウトコースが多かったのでアウトコースの高めをねらっていました。打った瞬間は、気持ちが高ぶりとてもうれしかったです」と話していました。
また、キャッチャーとして3人の投手をリードし、1失点に抑えたことについては「3者凡退のイニングが1回しかなくてそこまで計算通りにいかず厳しかったですが、ピッチャーが厳しいコースに投げてくれました」と振り返りました。
そのうえで、次の試合については「先を見ずに一戦一戦必死な気持ちで戦って全国制覇が見えてくるので、まずは目の前の試合を戦っていきたいです」と静かな闘志を燃やしていました。
寺本悠真投手「最初から100%の力出す意識で投げた」
明豊高校の寺本悠真投手は、6回ノーアウト一塁の場面で登板したことについて「ランナーを背負うような状況はあまり経験がなかったが、マウンドに立ったからには、最初から100%の力を出す意識で投げました」と話していました。
また、6回と7回のピンチをいずれも無失点で切り抜けたことについて「点差は3点しかありませんでしたが、いつもどおりキャッチャーが構えたところに投げるようにしました。抑えられてうれしかったです」と振り返りました。
そのうえで、「無失点で抑えることが大事だと思うので、次の試合も全力で頑張りたいです」と意気込みを語りました。
川崎絢平監督「選手たちが気持ちを切り替えてやってくれた」
明豊高校の川崎絢平監督は「雨による長い中断は初めての経験だったが、試合をひっくり返されないよう選手たちが気持ちを切り替えてやってくれた」と振り返りました。
そのうえで、「ホームランを打つ選手は少ないが、選手みんながチームのためにつなぐことを意識したバッティングをしてくれたのがよかった。登板した寺本投手も厳しい状況のなか、守り抜いてくれた」とうれしそうに話していました。
《佐賀北》
宮崎淳多選手「どんな形でも楽しもうと思い打席に立った」
佐賀北高校のキャプテンで5回にタイムリーヒットを打った宮崎淳多選手は「1回戦はとにかく打たなければと焦ってしまったのですが、きょうはどんな形でも楽しもうと思い打席に立ちました。ヒットを打ったときはほっとしました」と試合を振り返りました。
そして、「新チームが始まってからなかなか勝つことができませんでしたが、ひたむきに練習してきて甲子園までたどりつくことができました。誰が欠けてもここまで来られなかったと思うので感謝しています」とチームメートに感謝を述べていました。
稲富理人投手「自分らしい投球ができた 悔いはない」
敗れたものの9回を完投した佐賀北高校のエース、稲富理人投手は「インコースを中心にした投球で序盤は抑えられていたが、中盤からは変化球をねらわれて失点してしまいました。もっと勝ち残りたかったです」と目に涙を浮かべながら振り返りました。
また、雨の影響で試合が中断になったことについて「相手のバッターが打った球が足に当たってけがをしていたので中断中は治療をしていました。そのあと、点を取られてしまったが影響はありませんでした。自分らしいピッチングができたので悔いはありません」と話していました。
そして、「甲子園という憧れの舞台があったから練習を頑張って来られたので感謝しています。大学でも野球を続けるのでこの経験を生かしてもっと成長したいです」と話していました。
本村祥次監督「チャンスあったが得点できず敗因に」
佐賀北高校の本村祥次監督は145球で9回を投げ抜いた稲富理人投手について「苦しい場面も多くあったと思うが、最後の最後まで粘り強く投げてくれた」とたたえました。
また、「チャンスで最後の1本がでず、明豊の投手の質が高く、なかなかやりたい攻撃をすることができなかった。何度もチャンスがあったが得点することができなかったのが敗因になった」と試合を振り返りました。
そして、「選手が自分たちで考えてプレーしていたチームなので、3年生はこれまでの経験を後輩たちに引き継いでほしい。来年はきょう出場した1年生、2年生を中心に甲子園で2勝したい」と話していました。