
夏の全国高校野球では6日、試合を午前と夕方に分けて行う「2部制」が初めて1日4試合の日に実施されました。6日は第2試合が延長タイブレークに入り3時間近くの熱戦となりましたが「継続試合」とはならず、インターバルを挟んだあと夕方の部の第3試合が予定どおりに始まりました。
夏の全国高校野球は暑さへの対策が課題となっていて、高野連=日本高校野球連盟などは去年から気温が上がる時間帯を避けて試合を午前と夕方に分けて行う「2部制」を一部の日程で導入しています。
去年は開幕から3日間、3試合の日に限って行いましたがことしは大会6日目まで、1日に4試合の日にも初めて「2部制」が実施されます。
今大会の「2部制」では、午前に行われる試合が午後1時半を過ぎた場合は新しいイニングの表に入らず、午後1時45分を過ぎた場合にはイニングの途中でも「継続試合」とし、翌日以降に再開されることが決まっています。
6日は第2試合で島根の開星高校と宮崎商業が対戦し、延長タイブレークに入りました。
10回に開星が犠牲フライで6対5でサヨナラ勝ちとなる2時間47分の熱戦となりました。
延長10回の途中で午後1時半を過ぎ、決着がつかなかった場合は試合が打ち切りとなり、甲子園で初めての「継続試合」となるところでした。
試合が終わった後、観客の入れ替えが行われ、第3試合が予定どおり午後4時15分から始まりました。
今大会では夕方からの試合が午後10時を過ぎた場合は原則として新しいイニングの表には入らず、こちらも「継続試合」となります。
継続試合 遠方からの応援団には懸念も
「継続試合」となった場合、短期間で試合の続きが行われることから遠方の学校からの応援団への負担が懸念されています。
このうち、第2試合に登場した宮崎市の宮崎商業。
8月3日に行われた組み合わせ抽せんの翌日の4日、宮崎商業では応援団の責任者、武藤紘平先生が応援に向かう準備や旅行会社への連絡など対応に追われていました。
バスで13時間余りかけて甲子園球場に駆けつける学校の応援団。
「継続試合」となった場合、早ければ2日後の大会4日目に中断したイニングから再開することになっていて、当初は関西で宿泊することを検討していました。
しかし、旅行会社と相談した結果、バスの手配が難しくなるなど試合後、そのまま宮崎に戻らざるを得なくなったといいます。
武藤先生は「こればかりはしかたがないと思っています。最後まで試合を見て、勝って一緒に校歌を歌いたいという気持ちがあるので、継続試合にならないよう祈るばかりです」と心配そうな表情で話していました。
試合当日、宮崎商業は学校の生徒や保護者などおよそ300人が5日の夕方に学校を出発し、半日余りかけて甲子園球場にやってきました。
第1試合が午前10時すぎに終わり、「継続試合」の目安となる午後1時半までおよそ2時間半余り前に試合が始まりました。
序盤は生徒たちと一緒に応援していた武藤先生は午後1時半が迫ってくると時間を気にしたり、ほかの教職員と話し合ったりしてそわそわした様子で、9回表に宮崎商業が土壇場の粘りで2点差を追いつきました。
さらにそのウラの終了後、場内では「継続試合」について説明するアナウンスが流れるなど、より一層、緊張感が高まりました。
しかし、宮崎商業は延長10回タイブレークの末、サヨナラで敗れ試合も午後1時半すぎに終了し、初めての継続試合とはなりませんでした。
武藤先生は「最後まで見届けることができてよかった。継続試合になるのではと、時間は気になったし祈る思いだった。選手ファースト、熱中症の対策という点では、重要な取り組みだと思う」と話していました。
午前中開始の2試合 選手2人が熱中症疑いで途中交代
6日から暑さ対策の一環として試合を午前と夕方に分けて行う「2部制」が実施されましたが、午前中に開始する2試合で、それぞれ選手1人が熱中症の疑いで途中交代しました。
このうち第1試合は仙台育英高校のキャッチャー、川尻結大選手が7回の守備で3アウトをとった直後、自力で歩くことができなくなり、チームメートに背負われてベンチに引き上げ、そのまま交代しました。
大会本部によりますと川尻選手は太ももやふくらはぎなどがけいれんしていて、救護室で点滴などの処置を受けた後、宿舎に戻ったということです。
第2試合でも開星高校の1番バッター、小村拓矢選手が8回の打席で、ファウルを打った後に倒れて足を痛がり、担架で退場しました。
いずれも熱中症の疑いで、川尻選手はすでに回復し、小村選手も症状は重くないということです。
第1試合ではほかにも、仙台育英のライトの選手が守備位置で足を痛がって倒れ、担架で退場しましたが、大会本部によるとこちらは診察の結果、熱中症の影響ではなかったということです。
仙台育英の須江航監督は試合後「2人とも、突発的に足がつった感じだった。次の試合に影響するような大きなダメージという様子ではない。意識がもうろうとすることも、一切なかっと」と、説明しました。
また、開星の野々村直通監督は「打席に入る前からつっていて、治療を受けていた。本人が『なんとかいきます』と言ったから送り出したが、スイングした瞬間にもうだめだった」と話していました。