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トランプ大統領

アメリカのトランプ大統領はイギリスを訪問するためワシントンを出発しました。国賓として2度、招かれるのは異例で滞在中、ウィンザー城で国王や王室のもてなしを受けるほか、スターマー首相との首脳会談に臨む予定です。

トランプ大統領は16日朝、日本時間の15日夜、メラニア夫人とともに、イギリスに向けてワシントン近郊の基地を専用機で出発しました。

ホワイトハウスを出発する際、トランプ大統領はチャールズ国王とカミラ王妃について「国王になる前からの長年の友人だ。とても光栄なことだ」と述べました。

トランプ大統領が国賓としてイギリスを訪れるのは2度目で、到着した翌日の17日に、ロンドン郊外のウィンザー城でチャールズ国王夫妻の出迎えを受け、晩さん会に出席するなど王室のもてなしを受けます。

18日にはロンドン郊外にある首相の公式の別荘、「チェッカーズ」でスターマー首相と会談を行う予定です。

首脳会談では、トランプ大統領が求めているロシア産の原油を輸入する中国やインドに対する関税の引き上げを巡りG7=主要7か国やNATO=北大西洋条約機構の一致した対応など、ロシアに対する圧力についてあらためて話し合うと見られています。

また、2国間ではAI=人工知能や半導体、量子コンピューターなどの先進技術の開発について協力協定を結ぶ見通しです。

トランプ大統領 今回の国賓訪問の内容は

イギリスにとって王室外交は、ほかの国との関係を強化する重要な役割をもち、招待を受けた国賓には、さまざまな歓迎のセレモニーや晩さん会などが行われます。

外国からの国賓訪問は、年に1、2回程度の頻度で実施されていて、チャールズ国王は2024年6月には、日本から天皇皇后両陛下を国賓として招いています。

アメリカのトランプ大統領は、2019年に、当時のエリザベス女王から国賓として迎えられ、チャールズ国王からの招待による今回の訪問は、国賓として2度目となります。

2度の国賓訪問は、アメリカの歴代の大統領では初めてとなります。

トランプ大統領は、2019年の訪問ではバッキンガム宮殿を訪問しましたが、今回は、ロンドン郊外にあるイギリス王室の公邸の1つ、ウィンザー城に招かれています。

トランプ大統領は、17日、メラニア夫人とともにウィンザー城を訪れ、チャールズ国王とカミラ王妃の歓迎を受け、馬車に乗って城内へ向かう予定です。

そして、昼食会のあとには、3年前に亡くなったエリザベス女王の墓がある、城内のセントジョージ礼拝堂も訪れ、花輪をたむける予定です。

また、17日の晩さん会では、チャールズ国王とトランプ大統領がスピーチを行います。

翌日18日、トランプ大統領は、ロンドン郊外の首相の公式の別荘「チェッカーズ」に移動し、スターマー首相との首脳会談に臨むことになっています。

会談後には、共同会見も予定されています。

トランプ大統領は、ことし7月下旬にも一族の企業が所有するゴルフリゾート施設のある北部スコットランドを訪れていて、異例の頻度でイギリスを訪問することになります。

イギリス政府としては、今回の国賓訪問を通じて「特別な関係」と呼ばれる緊密な同盟関係を、さらに強める機会としたい考えです。

具体的には、他国に先駆けて、トランプ政権との関税交渉で合意したことから、経済面で両国間の投資をさらに活発化させるとともに、外交や安全保障面では、ウクライナでの停戦の実現に向け、連携を強化したいものとみられます。

専門家 “米英首脳会談での中心的な議題ロシアへの対応”

トランプ大統領のイギリスへの2度目の国賓訪問について、米英関係に詳しい専門家は首脳会談での中心的な議題はロシアへの対応になると指摘しました。

アメリカン・エンタープライズ研究所のヘザー・コンリー上級研究員は「2度目の国賓としての招待は異例だが、これはトランプ大統領にとってこの訪問がいかに重要であるかをイギリス側が理解しているからだ。トランプ大統領は儀礼的な華々しい儀式を喜んでいる。世界情勢が非常に不安定ないま米英関係を強化するものになる」と意義を強調しました。

そして「スターマー首相とイギリス政府は、米英関係の重要性を象徴する、このすばらしいもてなしの機会を利用しトランプ大統領がより前向きな気持ちになることを願うだろう。トランプ大統領に、ウクライナへの支援や対ロシアの行動の強化にさらに踏み出すように促すだろう」と述べ、首脳会談での中心的な議題はロシアへの対応になると指摘しました。

そのうえで「ロシアはますます攻撃的になってNATO=北大西洋条約機構を試し、中東では不安定さが見られ、そして中国はインド太平洋地域で主権と領土の一体性を試している。米英関係はこれまで以上に重要なものとなっている」と指摘して、首脳会談では多岐にわたる外交課題が話し合われるという見方を示しました。

一方で、イギリスとの2国間関係では「アメリカの企業とイギリス政府との新たな技術提携の発表が見込まれる。新たなエネルギー連携協定についても話し合われるだろう。また、鉄鋼とアルミニウムの関税は依然として高く、両国の貿易協定についても引き続き協議されるだろう」と述べ経済面での連携強化やトランプ大統領が課している関税が引き続き首脳会談の焦点になると指摘しました。

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