
今月12日の記録的な大雨で浸水した三重県四日市市の地下駐車場で、少なくとも180台の車が水につかる被害にあったことが国土交通省の調査でわかりました。
地下1階の排水作業は完了した一方で、地下2階は今も水につかっている状態で、被害車両はさらに増える可能性があるということです。

四日市市中心部の地下2階まである駐車場、「くすの木パーキング」は第三セクターの会社が運営し500台あまりを収容可能な駐車場ですが、今月12日の記録的な大雨で地下2階が完全に水没したほか、地下1階も最も深いところで1メートルあまりの深さまで水につかりました。
国土交通省は大雨の翌日の正午前からポンプ車などを使って排水作業を進め、14日には、地下1階の排水を完了し、人的な被害はなかったものの地下1階で180台の車が水につかる被害が出たということです。

一方で、水没した地下2階は今も水につかっている状態で、国土交通省は15日正午までにポンプ車を5台に増やして作業を行っていますが、排水の完了にはあと数日かかる見込みだということです。
このため、被害車両の数はさらに増える可能性があり、国土交通省は安全が確保されしだい、被害の確認を行うことにしています。
「このような状況になる前に行動すべきだった」

今月12日の午後10時半ごろ、三重県四日市市の地下駐車場に駐車していた車が、地上に出るまでのドライブレコーダーの映像です。
車を運転していた男性によりますと当時は近くの飲食店にいましたが、大雨の影響で浸水や停電の被害が起きたため駐車場に車を確認しに向かったということです。
車は地下1階に駐車していたということですが、水は周囲の車のナンバープレートの高さまで上がっていて、川のような流れになっていたということです。
男性が車を発車させると、大きな水しぶきがあがり、車は水をかきわけるようにして出口に向かいます。
料金所の近くでは赤いコーン標識が横倒しになって浮いているのもわかります。
出口のスロープにも地上から水が流れ込んでいて、地上に出たあとも道路が広い範囲で水につかっていました。
男性にけがはありませんでした。
男性は「ギリギリのタイミングで出ることができましたが、本来ならこのような状況になる前に行動すべきだったと反省しています。危険は事前に避けるのが一番だと身にしみました」と話していました。
止水板設置間に合わず 排水ポンプも停電で使えず
「くすの木パーキング」を運営する第三セクターによりますと、今回の記録的な大雨では大量の雨が短時間に降り、外部から地下駐車場内への浸水を防ぐ止水板を設置する作業が間に合わなかったということです。
また、大雨に備えて駐車場に設置している排水ポンプも、当時は停電していたため使えなかったということで、こうしたことが当時、駐車していた多くの車が水につかる被害につながった可能性があるとしています。
排水作業が続けられている地下駐車場の様子

排水作業が続けられている四日市市の地下駐車場で作業にあたっている関係者から15日撮影した写真をNHKは入手しました。
このうち1枚は今も水につかっている地下2階の通路の写真で、15日午後0時半ごろに撮影されました。
駐車場はまだ、天井近くまで水が残っていて、駐車していた車が完全に水没していることがうかがえます。
もう1枚は15日午前10時半ごろに撮影された地下1階の写真で、14日排水作業は完了したものの車が泥で汚れていて、長い時間、水につかっていたことがうかがえます。