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精密機器メーカーの「オリンパス」が、経営の立て直しの一環で分社化した子会社の税務申告をめぐって、東京国税局から110億円余りを追徴課税されたことが関係者への取材で分かりました。

追徴課税を受けたのは、東証プライム上場の精密機器メーカー「オリンパス」です。

オリンパスは2011年に発覚した巨額の粉飾決算事件の後、内視鏡などの医療分野に経営資源を集中させるとともに、収益性が低い事業を売却して経営の立て直しを図ってきました。

このうち、顕微鏡などの科学事業について子会社の「エビデント」を設立して、2022年に分社化し、おととしアメリカの投資ファンドに売却しました。

関係者によりますと、オリンパスはその間、グループ企業内で収益や損失を合算できる「グループ通算制度」に基づき、子会社のエビデントの赤字をグループ内の黒字と相殺して申告したということです。

しかし、エビデントの申告がグループ通算制度に基づいていなかったことから、東京国税局は、制度が適用されないと判断し、オリンパスに対し、去年3月までの2年間におよそ300億円の申告漏れを指摘し、110億円余りを追徴課税したということです。

NHKの取材に対しオリンパスは「税務当局と議論を続けるなかで当社との見解の相違がありましたが検討の結果、ご指摘に従い、納税することとしました。今回の指摘を真摯(しんし)に受け止め、適正な対応に努めていきます。今後も、適正な申告・納税を行ってまいります」とコメントしています。

また、「エビデント」は「守秘義務により回答を差し控えさせていただきたく存じます」としています。

グループ通算制度とは

「グループ通算制度」は、グループ企業の税務申告で親会社と子会社の利益と損失を合算して申告・納税する制度で、2022年4月から運用が始まりました。

以前の「連結納税制度」もグループ全体で損益を合算できるのは同じですが、親会社がすべての子会社分を税務申告する必要がありました。

子会社の税務申告で修正などが見つかった場合に、親会社がグループ企業全体で再計算を行わなければならず、親会社の負担が重いと指摘されていました。

こうしたデメリットを解消するためグループ通算制度が始まり、子会社も個別に税務申告して、グループ全体で損益を合算できるように変わりました。

事業売却の経緯

オリンパスは、2011年に発覚した巨額の粉飾決算事件の後、経営を立て直すため、収益性の低い事業の売却を進めてきました。

かつてはカメラメーカーとして高い知名度がありましたが、スマートフォンの普及によってデジタルカメラなどの映像事業は営業赤字が続き、2021年に投資ファンドに売却しました。

さらに、創業以来、100年以上の歴史があった顕微鏡などの科学事業も、子会社の「エビデント」を設立して、2022年に分社化し、2023年にはアメリカの投資ファンドに売却しました。

一方で、医療用の内視鏡など医療分野に経営資源を集中させ、直近の決算では、グループ全体の売上のほとんどを占めています。

世界市場で高いシェアを持つ医療用の内視鏡を軸に収益を改善させているということです。

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